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2016年6月14日火曜日

Vol 24 Mt ワディントンの反省点、改善点。


ご無沙汰してます。谷です。
さて長期登山のワディントンから帰ってきて2週間が経ち、
アルパインガイドの仕事も始まりました。先週末はコロンビア大氷原にて氷河のテクニックの講習会のインストラクターとしてアサバスカ山をガイディングしてきました。
今年はカナディアンロッキーの氷河の雪解けも早くこの夏は忙しくなりそうです。
忙しくなると今回の山行を振り返る時間がなくなるので、記憶がはっきりしているうちに
反省点等を書き留めたいと思います。自分のためにも、次に行く方のためにも。
というわけで、今回はロッキー登頂シリーズはお休みです。
この系は雑誌でも取り上げられない(結構マニアックだから)
のでブログにて補完したいとおもいます。
今回は長くなりそうなので、読むの大変そうだと思う方、登頂系の話を待ってたかたには申し訳ないです。でははじまりはじまりー。

まず結果からいうと、今回の登山は失敗に終わったと言っても過言ではないです。当初の目標サーキット(ベースキャンプからワディントンを経由し馬蹄形に戻ってくる)を達成できておらず、正直、自分自身やり切った感はないのが実情です。
この見えているすべて山々のスカイラインを左から右に一筆書きするのが今回の目的でした。
向かって左、ワディントンは大きな氷河の山、そしてコルを挟み右手は花崗岩の岩塔郡が連なります。しかしできず…

なぜそういうことになったか反省するべき点、そしてそれは改善できることだったのか、自戒の念を込めて今一度考えてみようと思います。
あげれば限がないですが。

事前準備。
一つ目、情報。
コーストマウンテンについてもっと調べれていたかどうか?
日本人の登頂記録がないこのMtワディントン(ヘリのパイロット曰く2回、日本人の団体を運んでいるのでその方々が登っていると思いますが)。
自分たちがどういうことが出来るかがいまいちわかりませんでした。(登り、滑り含め)
このエリアのガイドブックもありましたし、グーグルアースなどで地形は把握しているつもりでしたが、やはりわかっていない部分が多々あり、時間を有効に使えていたか疑問。
特にメンバーである全員が山域やルートについて同じレベルの理解度がなかったのは問題だったと思います。
コンサートに行ってその人の最新アルバムを持っているない人は楽しめないですよね。『これ何の曲?』みたいな。
曲を知っていたら、一緒に歌えてより楽しむことが出来る。これはどこに行くにも重要なことです。
また記録についても、もっと調べておくべきだったと痛感してます。未登の壁なのか?それとも登られているのか?今はアメリカン、アルパイン、ジャーナルのウェブサイトやアルピニストのサイトで世界の第一線の登攀はほとんど調べれます(特にAAJ)

実は今回の登った新しいラインは僕たちは2002年のガイドブックとカナダ人の知り合いの情報しかなかったので壁自体未登かもしれないなと思っていました。
でも案の定、下山後調べると2010年に登られており、初登者が登ったラインにも相当近く、いい登りではありましたが、発表するほどではないかもしれないと悩むレベルでした。
 スカウティングと呼ばれるこの作業、とても重要です。そしてこの作業の前にやはりその他のルートのことも頭に入れておく必要があります。

二つ目 食料
これに関しても問題が多々あったと思います。
まず、例えば同じメニューが100食分あったこと。これは味が違っても飽きます。もっと違うバラエティに富んだ行動食や食事を用意すべきでした。
嗜好品に関しても同じことが言え、もっと事前に各々の好みや食事の量などすり合わせが必要だったと痛感しています。甘いものが好き、コーヒーが好き等。
全体量にも問題があり、計画で持っていったものだけでは24日間程度でなくなっていたかもしれません。やはりもっと余りが出るように計算すべきでした。ヘリポートに行くまでに色々な形で臨時の食料があったので何とかなったという形です。
もしもっと天気が悪く、ヘリコプターが飛べなかったら、もっとハードなクライミングを日程の最後にすることになっていたかと思うとダメダメでしたね。
 こんなふうに楽しめる食事だけではなかった。

長期登山だと生活力がかなりの重要な部分を占めます。
そういう意味では、今回長期登山の生活経験がないものがいたというのはかなりの問題で
3月、4月中にもっと泊まるだけの準備山行をしなければいけませんでした。
(日本だと冬の黒部横断、日高縦走などで経験できる)
またアラスカ、デナリなら同じ長期テント泊でも沢山のクライマーがいて何か壊れたり足りなくてもなんとかなるものですが、ここは一番近い高速から約100㎞離れていて基本五月は誰もこない山域です。もしひとつの装備が壊れるだけで大きな問題になってしまいます。
補給というものが一切出来ないという点、もっとしっかり考えておくべきだったでしょう。
またベースキャンプでも装備、道具、過ごし方についても個々が計画になかったものを持ってきていたので何とかなった部分は多々あります。一か月ジェットボイルで煮炊きは厳しい部分もあるでしょう。

生活しかり、氷河登高しかり、ルートや山域の情報しかり、クライミング能力ではなく総合力というものが残念ながら全員が低かったように感じます。
とにかくワディントンに来てから学ぶことが多く、登りに集中できなかったのはサーキットをできなかった大きな理由です。
これらが最初から同じ足並みであれば、結果は違っていたかもしれません。

そして三つめ、自分自身の準備
自分たちの心身が準備で来ていたかどうか?
体力、クライミング能力、精神、ワディントンと自分がちゃんと向き合えていたかどうか?
個人のトレーニングは出来ていたかどうか?
自分自身もそうですが、間違いなく、準備不足。
今回二つの怪我により目的を完遂することはできませんでした。
しかし、それをもし運が悪かった、たまたまそうなってしまった、と思っていたり、
記憶が風化するようであれば、次の登山はないでしょう。
というより、次は怪我ではすまないかもしれません。

写真だけみるとなんかいい感じですが、氷河登高や生活など個々でスキートラバースをするなどで事前トレーニングする方法はあったはず。 

事前準備の考だけまとめると、
まず確実に言えること事前山行(プレ)が出来なかったことに挙げれます。
3人が別の国に住んでいるというのは非常に難しい問題であり、出来なかったのは仕方ないという話もありますが、少し前に事前に入国してもらいプレ山行をするべきでした。
それにより、装備や食事、情報などの共通のスタンダードが生まれ、その基準にみんな到達するようにわずか一週間でも努力できたはず。

また事実上のリーダーが不在であったこと。昨今日本では言われていますが、怒ることが出来ない人が増えた。やはり注意すべきことを注意できない。これでは数日の山行ならいいですが、一か月では問題になってきます。一番は成長できないということ。自分の物差しではなく、チームの物差し、ゴールを基準として、やはり足りないものを補うために討論をもっとしなければいけなかったと思います。

あとは初見(オンサイト)であったこと。これはどうしようもないですが…
どんな素晴らしい登山も何度もその地に通い、その山に通い成し遂げられています。すごいクライマーが初めていってすごい登りしちゃったなんてことは先人の情報があるからこそ(ホノルドがいきなりパタゴニアに行って結果を出せるのはトミーというパートナーがいて、そしてその上にはロロが何十年もそこに暮らし通った情報があるうえに成り立っているわけです)後輩はその経験の上、初登頂、初登攀が出来るわけです。なので山岳会や同人などクラブになどに入っているということは素晴らしいことですね。僕は入っていませんが…

最後にビザの問題や、外国人労働者の仕事の問題など挙げればきりがないですが、
それにより集中できなかったのも確かです。
海外に永住権を持たない一時滞在者が生活をしながらこのような長期登山は、非常に難しく
常にストレスを抱え、資金や装備等に苦労しなければいけなかったのも事実です。
(正直日本に居た方が何倍もスムーズに行え、サポートしていただける方々への報告や挨拶なども行えます。)

その不安定な海外生活の中で今回無事三人、登頂できたことは、沢山の方々、メーカーのサポートがなければ不可能だったと思います。ありがとうございました。

今読み返すと、うんざりしますねこの文。まだまだあるけど準備の考だけでもういいかなと思ってしまうレベル。

次はよかった点のレビューにしようかな…。でも装備品の問題点も書かないとだし…。

でもあと何年かして見返す時、そして次世代が、長期海外登山に行くとき、何かの役に立てば幸いです。
では。

2016年6月9日木曜日

Vol.23 山と子育てについて①

山スキーシーズンが終わり、子育てシーズンに突入したカネイワです。
今回は目下の課題であり、次の冬までの懸案事項について、いつも通りまじめに堅苦しく書きたいと思います。

これは依存症なのか

ここのところ数週間山に行けていない。

4月に子供が生まれ、里帰り出産を終え妻と子が上京してから、生活が一変している。
山と子育ての両立は、私が思っていたよりも厳しかった。

当面の見通しが立たないことから、とりあえず今回のタイトルを①とし、
両立や離脱方法が見つかるまで続けていきたい(それ以外に書くことがない)。

振り返ると、登山にのめり込むきっかけを得たのが約5年前。

それから、山に入る日数は年々増加し、会社員をしながらほぼ毎週末山に通っていた3年前が約100日、会社を辞めて放浪した一昨年が200日超、春から社会人に復帰した昨年が135日。

少なくとも週に一日は山や岩場にいるのが習慣化してきていた。

それがここにきての急ブレーキ。

明らかに脳内に異変が起きていて、最近久しぶりに強烈な虚脱感を覚えている。

アドレナリン、ドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリン、エンドルフィン、、、

どれがどう作用しているかはよくわからないが、生活パターンが変わったことで、
最近日々の生活に苛立ちや虚無感を覚えることがある。

山にある自然、非日常性、そこにある危険、またそこからの生還、
それによって得られるものを必要としていると強く感じる。

これはある種の依存症なのかも知れないが、私はそこに生きることの本来の意味を見い出し、生きる「糧」としている点において、ポジティブなものと捉えたい。


妻が母になった衝撃

元々自らの経験からしか学べない愚か者ではあるが、今回も例に倣い身をもって思い知った。
ここ数年では、カナダにおける一連の車トラブルに次ぐ、衝撃的な出来事だ。

乙武さんは正しい!

身体が不自由でも書く、話すことを仕事にしているだけあり的確である。

明らかに彼女の中で確実に何かが変化していた。

今までトップにいたはずの私は、あっけなく序列二番に降格。

彼女の中にあった「妻的なもの」「女性的なもの」は
母性に吸収されたか、変質したか、あるいは収縮したか、
とにかく以前のバランスが大きく崩れてしまった。

とはいえ、それはそれで仕方がない。

多少の落胆と驚きはあるものの、そういうものだと割り切るしかない。

子育てには母性が必要なのだ。

その都度不必要なものが切り捨てられて、必要なものが呼び覚まされる。

ヒトはこんなにも機能的だ。

しかし、それが仕方ないことだとしたら、男が男であることも仕方ないと言えないだろうか。


男は男である 

不倫騒動を起こした(うちの一人)乙武さんに対し、

「妻が母になったなら、お前は父になれ」

という批判が(おそらく主に女性から)寄せられていた。

確かに一理ある。

断っておくが、私は子育てが嫌いなじゃない。

「イクメン」の称号は放棄するが、我が子は愛しいし、
できるだけ育児に関わっているつもりだ。

しかし、夫は父になる以前に男である。

父になったからといって、30過ぎたくらいでは男は大人しくならない。
詳しくはホルモンの専門家に任せるが、40になっても夫は父であり、

また男である。

もしかしたら将来的には女になっているかも知れないが(全ての可能性を排除しない場合)、
それでも「男性的なもの」は失われないだろう。


私と乙武さんの違い

私の「男」は私を山に向かわせる。

男だから山に行く

というのは単に自分の行為を正当化するための言い訳に過ぎない。

実際には山に行かない男は多いし、男より強い女もいる。
男っぽい女や女っぽい男、単純にどちらともいえない人もいる。

とはいえ、血が沸くような興奮と未知的なものに求める冒険性というようなものは、
どちらかというと男性的なものだと思う。

乙武さんの「男」は女に向かった。

それは単に方向性の違いである。
いや、もしかしたら本質的には同じものなのかも知れない。

野に入り、狩りをして、食糧を持ち帰る。

その力によって原始的な男の魅力をアピールし、女性にモテる。

たとえそれが現代社会においては、

「女子の子宮には一ミリも響かない」(『外道クライマー』参照)

全く通用しない手口であると、頭では理解していたとしても
山に登る行為とこのような本能的な下心に全く関係が無い
とは言い切れないだろう。

私は乙武さんほど絶倫でもなければ、甲斐性も無い。

だから、私が五人もの女性と不倫する(できる)はずはない。

しかし、彼のようにハンディキャップを乗り越える強さや知性、
そして下半身の強さがあれば、同じように肉欲に溺れ(られ)た
かも知れないのだ(不倫の非道徳性について、ここでは議論しない)。


という訳で、私はこれからも虎視眈々と山に行けるチャンスを狙っていく。

山と子育ては対立しない。。。

はずだ!

せめて対立させないようにするにはどうすればいいか、
次回からはそれを少しずつ考えていきたい。

山と生活(つまりはお金)は、私にとって永遠のテーマである。

終わってみると、ここよりも自分のブログで書くべき内容でした。。。

次回こそ「これで完璧!子育てと山の両立」的な記事を書きます!

期待せずにお待ちください。