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2017年2月27日月曜日

Vol.61 カナダ山岳会の山小屋を利用しよう!

カナダ山岳会のロゴ 

こんにちわ、秋山です。

今回のブログは知って損なし! 人気沸騰カナダ山岳会の山小屋についてです。

カナダ山岳会、Alpine Club of Canada(以下ACC)は100年以上歴史のある組織であり、カナダの山岳文化を育む上での非常に重要な役目を持っています。カナダ全土に支部を持ち、会員も1万人以上いてその会員向けに色々なサービスを提供しています。

どんなサービスかというと、例えば、山小屋運営、会員向けの山行(無償版と有償版)、海外への遠征、フィルム・フェスティバルなどへの協賛、リーダーを養成するGeneral Mountaineering Campの運営などなどなどですね。

そんなACCの持っている山小屋ですが、2017年時点では36ヶ所! ACCの山小屋は基本登山用に建てられているので、豪華さはなくベーシック。ですが、立地が最高の場所にあるものが多く、これを利用しない手はありませんね。


キャンモア、バンフ、レイクルイーズの町から、3000mの稜線上まで山に関わる好立地に小屋があるのがACCハットの特徴 
とうことで、山小屋予約方法、基本的な使い方を紹介していきます。

料金
メンバー30ドル/日、ノンメンバー40ドル/日


まずは気になる料金ですが、昔は山小屋毎に設定がありましたが、最近は上記のとおりにシンプルに。山裾にある綺麗な小屋でも、稜線上にあるアルミの箱みたいなのでも料金が同じになっています。それでも40ドルは安いっすね。

予約方法
1. ACCのホームページで行きたい山小屋を選んびます。

一覧はこちら→ http://www.alpineclubofcanada.ca/facility/view-all-huts/

2. 中央右にある"Check Availability"をクリックすると左下に日付、人数、泊数を入れる窓が開くので情報を入れて、Check Availabilityをクリック

3. 右に空き状況が出るので、空いていればinfo@alpineclubofcanada.caにメールをすると、担当者からメールが返ってきて、クレジットカード番号等を伝えれば予約完了。 簡単ですね。
ステップ1、2、3で予約完了! 

装備
小屋によって若干の差はありますが、基本寝袋と食料だけ持参すればいいです。その他の物、マットレス、食器類、調理器具、燃料、ガスレンジなどは全て揃っています。なので、自分で調理をする必要はありますが、荷物はかなり減らせるのがGoodポイントですね。
マットはありますが、寝袋は持参です。真冬でも小屋内は暖かいので3シーズン用の寝袋でOK。これホント 
山小屋紹介

私のお気に入りの山小屋の紹介などは次回以降のブログで紹介して行きたいですが、例えば、ワプタ氷河スキー縦走用の、ペイトハット、ボウハット、バルフォアハット、スコットダンカンハットなど、ヨーホースキー縦走用の、ガイハット、スタンレーミッチェルハット。
マウントビクトリアやレフロイの登山用のアボットハット、レイクオハラハイキングに使用するエリザベスパーカーハット、ロジャースパスのスキーや登山ようのA.O.ウィーラーハット、アサルカンハット、などなど、用途によってそこらじゅうにある山小屋を選択できるんですね。
ただ、近年のアウトドア登山ブームにより、どこの山小屋も予約が徐々に難しくなっているので、早目の予約も必要ですね。

ということで、今回はざっくりACCの山小屋を紹介しました。日本と少し違ったスタイルで管理されているACC小屋、是非利用してカナダの山を安く楽しんでみて下さい!
追小屋内の暖房は薪。なので自分で薪割りもします
スタンレーミッチェルハットの寝室。2階にあります 

レイクオハラハイキングの拠点に最適のエリザベスパーカーハット 
一般的な山小屋の中。簡素ですが綺麗に整備されています

スタンレーミッチェルハットの個室。運がいいとこちらをゲット。早いもの勝ちです 

ワプタスキー縦走の最後にあるスコットダンカン小屋 

ペイトハット概観。ここから見える山に登りに行きます 

小屋内にはフライパンや鍋などが整備されています 

スキー登山に最適のグレートケルンハット、ヘリで入山します 

お客さんのためにクッキングもガイドの仕事、メンバーの谷と 

カップや調理器具も充実 

2017年2月20日月曜日

Vol.60 流氷を背にアイスクライミング

こんにちは。星野です。
道北地方、冬のハイシーズン。降雪量は少なめな気がしますが、相変わらず雪質は良すぎです!

今回のテーマは、網走アイスクライミング。
網走市は道東にあるオホーツク海に面した町で、刑務所や流氷で有名なのではないでしょうか?

「網走」という地名は「ア・パ・シリ」(我らが見つけた土地)や「アパ・シリ」(入り口の地)、「チバ・シリ」(幣場のある島)などの諸説があって定まっていませんが、いずれにせよ「アパシリ」というアイヌ語を漢字にあてたものとされています。

そんな網走市の北に突き出た能取岬。ここがアイスクライミングの出来るエリアとなっています。
海岸線沿いには、大小様々な氷瀑があり、公表されているトポではF9まであります。
網走市は北海道としては比較的温暖な地域のため、日中、日当たりの良い面にある氷は溶けてドロドロになります。そんな場所は朝早く、まだ気温が低いうちに登っちゃいましょう!
そして、なんと言ってもこのエリアのすごい所は、流氷をバックにクライミングが出来る事です!サハリン北東部の海で産まれた流氷が北風に運ばれ網走までやってきます。なんとも神秘的な自然現象です。
振り返れば奴がいる!
沿岸から流氷を確認できたそのシーズンの最初の日を「流氷初日」と言うらしく、この日はまさに流氷初日!流氷がどんどん迫ってくるので「今日中に着岸すんじゃねーか?」とワクワクしていましたが、着岸しませんでした。。。
流氷の子供みたいなのはチラホラ見かけました。
この日は天気が良く、対岸には斜里岳や知床連山が一望できました!
このエリアは、前回の谷の話にあった様な、雪崩地形は上部にありません。上は平らな台地になっています。しかし、このエリアはシーサイドのため、潮が満ちると帰ってこれなくなる場所がありますので、潮の満ち引きには気を配っておきましょう!

アイスついでに流氷見学!流氷見学ついでにアイス!どちらにしても二度美味しいですね!


毎回の1枚。
メンバーの谷や裕規達と行ったwapta icefield。この時僕はまだスノーボードをやっていて、スノーシューでエッサコラついて行きました。広いフィールドでのスキーの機動力を見せつけられ、この日を境にスキーに転向しました!

2017年2月15日水曜日

Vol.59 カナディアンロッキーのアイスクライミングの注意点その2

ご無沙汰しています。谷です。
雪崩の試験ばかりでアイスにはなかなか行けていないですが、前に書いたカナディアンロッキーのアイスクライミングの注意点について、天気予報サイトなどを含めてアップしたと思います。

冒頭の写真はポーラサーカスでの写真、デカい雪崩が起こってますね。三週間前です。
さてここで問題です。実はこの中にクライマーがいます。危うく大惨事です。探してみてください。答えはこのブログの最後に。

今日はポーラサーカスを例にとり話しますがアイスだけでなく、スキー、登山をカナダでしたい方、今後ヒマラヤ、アラスカに行きたい若者は読んで損はないと思います。

ちなみにこの日の雪崩の予報はアルパインエリア(森林限界上)でモデレート(2番目に低い)でした。つまりGoサインが出ていました。ですが、こういうこと起こりますね。
前回の其の一で書きましたが、これが暗闇であればもうひとたまりもありません。
じゃモデレートだったのにいけないじゃんという話ではなく、変わるコンディションを見極める力を付けるということが重要に思います。(特に風土や気候の違う海外登山では。)

この日は午後から風が強く、飛雪が多量にあり更に写真の通り日射があり雪崩れました。
そして10日以上雪は降っていなかったのです。

まず自分が行きたい氷(ルート)どの方角に向いているか考えましょう。
ポーラサーカスは西向きの斜面にあり、正午から夕方まで日があたります。
そして冬は太陽が低い位置にありますので、傾斜の強い斜面がより温められます。(物理ですね、直角に当たればあたるほどより影響があります。)
そして谷底では-5度前後でも、ポーラサーカスは700mですので、約4.2度下がります。
-10度になればそれだけで雪が乾燥している状態が想像できます。
更に風は森林限界を超えると強くなりますよね。
さらにその風はどこから来たかが重要です(風向き、そしてその手前にある地形)
日本は冬は北西風ですよね。カナディアンロッキーは冬はどこから風が来ると思いますか?
北半球だからいっしょと思っていけません。カナディアンロッキーは南西風が基本になるのです。これだけでもう日本から来た自分の観天望気がくるってますよね。

それを見るのはこのサイト
これは使い方簡単、見ればわかるというビジュアル付き。
これでどの国にいっても大きな気候の動きを知ることが出来ます。
僕は500hpa(約5,400m)にしてますが、700hpa(約3000m)にして稜線付近の風を調べるのもありです。(山域によって標高を変えましょう。ヒマラヤだと250hpa、デナリだと500hpa)

さあ風向きがわかれば次はその手前に何があるか?

 右の赤い丸ポーラサーカス、左の赤い丸はMtコロンビア(3747m)間には大きな氷河コロンビアアイスフィールド(名古屋市と同じ面積)が鎮座しています。
冬ともなればそこに積雪平均で3~4mほどが積もっていますので、谷を一つ挟んだポーラサーカスの上サーカス山にも雪が飛んでくるんですね。
何回も言いますが、これはアイスだけではなく世界中で登山、スキーをしたい人、皆に通ずるものです。
自分がいく山の風上には何があるのか?海だったら皆、悪天を予想しますが、それだけじゃないものも影響するんです。

風が重要ってことが分かったところで、カナディアンロッキーだと
どのサイトで見ればって話ですが、リンクです。
これのVulture peak 2930mを見れば今の稜線の風向風速がわかります。
ちなみにBow Peakを調べれば現在の積雪深、新しい降雪、気温などのデータも時間単位でわかります。

さて次は日照ですが、天気予報サイト共に日の出、日の入りが書いてます。
あと湿気も書いてます。湿気は飛雪にとても関係があるので見ておきましょう。
日本は湿気が多い国なので僕たちはあまり実感ないですが、とても重要です。
カナダの天気サイト

あとどれくらい雲で隠れているか?このサイトを見ればわかります。
雲の割合が少なければ、日中熱くなり朝晩は放射冷却により冷え込みます。

このサイトはMap上で行きたい場所や山域にカーソルをクリックするだけでその場所の風、気温、降水、雲の割合など詳細に教えてくれます。

あと実際どれくらい雪が積もったのかも重要ですよね?
レイクルイーズやサンシャインビレッジのWebサイトが一番いいですね。
雪が降ったらわかります。それによって彼らは客足が決まるので。
レイクルイーズ
サンシャインビレッジ
このレイクルイーズのサイトのWebカムを見るとリアルタイムの天気もわかります。







リアルビックドリップM7WI6

本気で登れる時間は少ないですが、だからこそ慌てず焦らず色んな情報を集めて準備万端で登りに行きたいですね。

経験測という一点のみが山で危険を回避するものではあってはならないと僕は考えてます。
色々な要因、天気(風、気温、降雪有無)地形、過去の記録、そして一番大切なのは、今日雪崩を見て、今、落石を見て、今、雷を見てどうするか。それが一番大事です。
その時は登山を続けてはいけないかもしれません。今起こっていることは、次自分の近くで起きる可能性が十分にあるのですから。

今回書いたことは、ほんの触りです、これよりもっと色んな事考えて皆登り滑っているのです。こんなに考えて登るの大変じゃんって方はガイドを雇うかゲレンデ(雪も岩も)行きましょう。
なぜなら山岳ガイドはさらに考えて一日を組み立てているのです。
もし今の状況を、今日これからどういうふうにコンディションが変化していくか答えられないならそれはとても危険なことかもしれません。
世界的に恵まれた雪を持つ日本、そこで育った僕たちが海から1000キロ以上離れた山を登るということ、ヒマラヤやアラスカ、ロッキーなど低温な山に行く方は、もっと自分の危険認知のレベルを上げないといけないかもしれませんね。

さて今日はこれで終わりにしますね。ロッキーだけじゃない話になりましたが、もっとたくさんのクライマーそして若者たちに世界一のカナダのアイスクライミング、ミックスクライミングに来てほしいものです。



では答え合わせ。
やばいとこにいますね。いやーやばいっすこれは。この系するのはほとんどがこの土地を知らないまじめで強いクライマーです。(アジア人かヨーロッパ人)

自分はそんなに無理してないと思っている方、いつも安全なサイドにいるという方、そうじゃないかもしれません。
常に自分に問い続けること、勉強し続けること。これは登り続けること、滑り続けることよりも難しく、そして【命】に直結します。
かっこよく登れなくても滑れなくても馬鹿にされるだけですが(僕のように 苦笑)
今日話したこと、山に関わる全ての要素を勉強することをやめれば、そこに落とし穴があるかもしれませんね。
初めての国だから知らない、わからないで怪我したら悲しいですよね。
今はGogle eathもあり、今日紹介した世界の気候を知るサイトは沢山あります。
準備しましょう。それが一番の安全への近道です。
そして面倒ならぜひ日本人初、そして唯一のカナダのアルパインガイドである僕に頼んでください。
カナダでアイスを登るなら、氷河を歩くなら登頂するにはアルパインガイドに頼む以外ありません。笑


次何が来るのか?天気は?地形は?雪は?氷のコンディションは?これからどうなるのか?
What's next?
この言葉はクライマーは大きなの壁を登り終えたとき必ず言うセリフです。次何登ろうかと?
ですが、このカナダという大きな国ではWhat's nextは自分を問いただす言葉なのです。
What's next? 次はどうなる?
この言葉を自分に問いかけ続けること、とても大切なことかもしれません。


では、僕は試験が終わったんでようやく自分の大好きな冬を遅いですが始めたいと思います。