MammutのBarryvox Pulse 2017年冬に代替わりしたので新しいバージョンを買いましょう |
いよいよ冬本番、日本もカナダも雪の多い最高のバックカントリースキーのシーズン・インを迎えたようです。
そのバックカントリーに行く時に必ず持っていくのが雪崩トランシーバー。雪崩トランシーバーとは、一定の周波数を発信して埋没の際には、このトランシーバーを受信モードに替えると、その信号をキャッチし埋没地点を特定できるというもの。
今日はその雪崩トランシーバーの話しですが、どうやって使うとか、他の機種(いろいろな会社からたくさんの機種がでている)の比較とかではなくて、マムート社の機種に限っての話です。しかも、このマムートからは2017年の冬この機種の後継機が発売されたので、もし購入を考えている人がいれば、この機種より新しい機種を選んだほうがいいと思います。ただ、設定的には踏襲されているところが多いようなので、無駄じゃないと思いますので、本記事掲載します。
私はカナダでヘリスキー/キャットスキーガイドをしておりますが、カナダの多くの会社でこのPulseが標準のトランシーバーとして採用されています。その理由は、上級者向けのカスタム設定が多くできる、複数台(80台まで)のトランシーバーの設定をWifi経由で一気に変えることができる、という2点が大きな理由のようです。
会社がPulseを使用しているので、必然的にガイドも使用している、ということで多くのガイドもこのトランシーバーを使っています。もし下記に説明するアドバンスモード的なものが必要ないユーザーであれば、機能を絞ったPulseの下位モデルElement、Pieps社のDPSなどでも全く問題ないと思います。一番大切なのは自分のトランシーバーの特徴を知って習熟することですからね。
1. ProfileでAdvancedを選択
マムートのPulseにはBasicモードとAdvancedモードがあり、Advanceモードにいくと所々の設定ができるようになります。
モートの切り替えは、Profileからできます。Profileへの行き方は、マニュアルを参照して下さい。
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2. Analog ModeはManualに。これで手動でアナログモードに行く事ができます。
アナログモードの利点は、受信範囲を広くできること。最大80mになります。
ヘリやキャットでお客さんがツリーウェルと言われる、木下の穴に落ちることがよくあります(実は雪崩よりも死亡事故が多いです)。この際にもこの最大受信モードで探します。
なので、大規模な雪崩で、捜索開始地点でシグナルがゲットできない場合は、すぐにマニュアルモードへ。受信レンジはA9(ディスプレイ上はA8が最高だが、もう一回クリックするとA9に入る、表示はなし)
また、何かしらの理由でデジタルモード(Standard Seach)が使用できない場合は、昔のようにアナログモードにして操作できるようになります。
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アナログモードの画面。右上のAがAnalogの意味。数字が上がるほど受信レンジがあがり、 1~9まであります |
3. Audio SupportはOff
これは、埋没者に近づくと、勝手にピピピピって音が大きくなるモードです。
実は、これをONにしている人は多いのでは?
一人のみの埋没者であれば、どんな設定(Basicモードでも)OKですが、複数埋没の場合オーディオサポートをONにしておくととピピピピという音のみで、実際のアナログの音が消えてしまいます。もしOffにすると、絶えずアナログ音が聞こえています。埋没者に近づけば大きくなったり、複数埋没であれば、トランシーバー分の音がピッピと聞こえたりします。
ビーコンサーチのテクニックとして、
埋没者に近づく際に、ディスプレイが10mになった時に”サウンドチェック”と言って、アナログ音が何個聞こえるかを確認すれば、音の大きさで付近に何人が埋まっているかがすぐに分かるので、このサウンドチェックを10m、5m、3mで行います。
457Mhzという同じ周波数を使っている以上、発信の間隔が全く同じになる瞬間があります。その時ディスプレイ上はStand Still(日本語だとチョットマッテみたいなメッセージ)になってしまいまい、何もできなくなります。ただ、ビーコン的にドリフトと言ってちょっとずつまたずれるようにできているので、そのうちStand Stillは解消されますが、画面より先に、音はすぐに分かれてくれるので、捜索のスピードアップに繋がるというわけです。
絶えずアナログ音が聞こえてくる様になるようにOffするこの設定は、 実は機能の中で一番重要だと思う部分。 |
この機能は、Pulse間でのみ利用できるモードです。
ビーコンはホルダーに付けて胸の近くに置いておくのですが、息をしている時の胸の微かな動きがあれば、この人は生きているよ!というハートマークを、捜索者のディスプレイに表示してくれます。
ということで、全員が同じPulseを使っているオペレーションであれば、複数埋まった場合、このハートマークがある人を優先に掘り出す、優先付けをすることになるわけです。
英語/フランス語ではTriageといい、近年の捜索の重要事項の一つです。
ある意味当たり前ですが、死体を掘りを起こすより先に、生きている人を掘り起こすということです。雪の上からもそれがわかるようになると。
ちなみに日本ではこの機能は提供されていないです。
北米はリージョンBですが、日本ではサポートされていない機能です。 残念! |
5.Rescue Send、レスキューセンド
これはSettingからいくのではなく、サーチモードからセンドに戻る時に現れる項目です。
このレスキューセンドモードに入ると、457Mhzではない周波数になり、発信はしているけど、他のビーコンからキャッチできなくなります。
これの利点は、自分が埋没者Aを掘っている時に、他の方が埋没者Bを更に捜索をしている時。
まず、ずーと音がしないのでうるさくない、誤って通常の457Mhzに自分が戻してしまい、他の捜索者に迷惑がかかるのを防ぐ、などがあります。
レスキューセンドモードに入ってから、4分間動かないと通常のセンドに戻ります。
通常のサーチも設定によりますが、自動的に戻りますね。
捜索をしている時、つまりビーコンを服の外に出してる時に、もし二次雪崩に会うと雪崩にビーコンを持っていかれますので、注意が必要です。
サーチからセンドに戻る瞬間に現れる選択画面。 この時にに左右のボタンをプッシュ! |
レスキューセンドモードに入った画面。 入る瞬間普通と逆の音、ピッポッパ、ではなくポッピッパとなる。 |
電源Offの状態から、両方のボタンを押しながら、一気にサーチに入れるとこのモードになります。ディスプレイが壊れた時などに使用できます。
7. スクロール機能の使い方
これも設定の話ではないですが、便利な機能。
複数埋没の際、Basicモードだと、一番近い人の数字を出した後、別の埋没者に近づくと自動的に、数字を切り替えてくれます。ただ、Advancedモードは一回近くの埋没者の信号をゲットするとその信号にロックしてしまいます。これを解消するにはMark機能を使うか、スクロール機能で次の埋没者にスクロールするかしないといけません。
一人目を発見した後、別の埋没者を探しに行く時に上記のどちらかを忘れていると、一向に新しい信号をゲットできなくなるので注意が必要です。
ちなみに、マーク機能は6m以内にならないと使用できません。
とうことで、マムートのトランシーバーに限った話でしたが、このような高機能なトランシーバーをもし持っているのであれば、是非参考にして下さい。複数埋没の特定が格段に早くなりますよ。
では、安全な冬シーズンをお過ごしくださいませ!
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