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2017年10月3日火曜日

Vol.92 レクリエーションからプロフェッショナルへ

黄葉のヤㇺナスカ 今年何回登ったんだろう。。。
 皆様ご無沙汰しております。つい先日、今季のハイキングガイドの仕事が無事に終わった山田トシが担当します。先月、めでたくACMG(カナダ山岳協会)アプレンティス(見習い)ロックガイド試験に合格したので、ガイドというものについて書いてみたいと思います。http://www.acmg.ca/
ACMGのアプレンティスロック試験は年一回スコーミッシュとロッキーの二か所で行われています。フリー要素の強いスコーミッシュ会場とは違いロッキーはもう少しアルパインチックな会場と言えます。表紙はお馴染みのヤムナスカ山です。ガイドのスキルを確認するのにここほど最適な山は他にはないので、毎年試験会場の一つになります。私はというと、試験日5日間のうち3日間ここで登りました。南面なので日当たり良好で30°の炎天下の中登っていました。
カナダではレクリエーションクライマーとプロクライマーという分け方をします。レクリエーションは趣味で登っている人達。プロはお金をもらって登っている人達です。ガイドもそうですが、コンペに出ているアスリートもそうですね。カナダのトップクライマーのソニートロッター、ウィル・スタンホープ、ウィルガッドなどもみんなACMGのガイド資格を持っているんですよ。ロッキーやバカブーなどのエリアは国や州によって規則が定められていて、ガイドの権利と尊敬が守られている証拠でもあります。


トレーニング風景その1
with ボブ

トレーニング風景その2
with ボブ
 昨年の悔しさをバネに今年の夏は仕事も休んでトレーニングに励みました。昨年のスケジュールを見返してみると、仕事ばかりで5日もトレーニングできていませんでした。今年は20日以上トレーニングをして本番に臨みました。ガイディングをする上で、下準備はもっとも大事な作業の一つです。ルートの下見は勿論、それができなくてもできる限りのルートの情報を集めて、1日の流れをしっかりとイメージすることで、その日の危険個所、注意点が見えてきます。

トレーニング風景その3。エイド技術も必要。

トレーニング風景その4。ガイドテクニック。
ガイドならではの技術を使い、危険個所をいかに安全にガイドできるかを考えて行動することが求められます。スピードを取るのか、安全を取るのか。場面場面で最も正しい行動を取らなくてはいけません。この部分はまだまだ経験が必要だなと感じました。
トレーニング風景その5。クライアントケア。


 お客さんとのコミュニケーションは安全を確保する上でとても重要な要素です。ルートの途中でこんな空中懸垂をさせる前には、事前にこれから起こることについて説明があると、お客さんとしては安心ですよね。安全はガイドテクニックによって確保されていますが、プロとしてはプラスアルファが求められます。
実際の試験4日目の風景。オンサイトガイディング中。
 ACMGのガイド試験はハイキングでもロックでもオンサイトガイディングに、とても重きを置いています。どんな場所、オンサイトの場所でもいいガイディングができてこそ、プロという証なのでしょう。過去の試験ルートはほとんど下見に行ったにも関わらず、試験の半分はオンサイトガイディングでした。なんで試験官は俺がそこへ行っていないことを知っているのか不思議です。
この日は4人2パーティーでの試験でした。
 自分が試験官をガイド中、ずっと自分の行動を見られて評価されています。今まで山で何気なくやっていた行為を、本当にここはこの行動で正しいのか?と常に考えながら行動しなくてはプロとしては失格ということですね。それによって安全係数も限りなく100%に近づけることができます。
トレーニング付き合ってくれたみんなに感謝。
トップアウトしてお客さんがこんな表情をしてくれた嬉しいだろな。
昨年の失敗と今年の成功を比較して思うことは、今年はレクリエーションからプロフェッショナルへとマインドをチェンジして試験に臨めたということに尽きます。後輩を山へ連れていくのとお客さんを連れていくのでは、やっている行為は似通っているとしても、その中身の質と意識は格段に差があるということですね。今回は驚く位、マインドをチェンジできていたので、他の試験者の行動も冷静に分析できていました。
まだロックガイドとして入口に立ったに過ぎません。本当のプロフェッショナルになるために来年から少しずつ経験を積んでいけたらと思います。
でも自分が今までずっと持ってきた自身の山登りや、クライミングへの情熱はずっと持ち続けたい。プロフェッショナルとレクリエーションとをうまく両立させて、このロッキーの地で、自分もお客さんもハッピーな山ライフを送ることが一番の目標です。



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