カナナスキスの名峰 マウント・サーダグラス |
どーも。記念すべきブログ100回目の前座を務めます。山田トシです。
今回はロッキーでのアルパインクライミングの話を書きます。今年の春にマウントボール東壁での敗退を経験し、自分なりに反省点を考えていました。細かい部分は色々とあるのですが、ざっくり結論だけ言うと、ロッキーでのアルパインクライミング(日本的に言うと冬期登攀)は難しくかつ、自分の実力が足りていないだけということに気づきました。ロッキーに来てからスポーツ的なミックスクライミングに精を出しすぎていて、単にロッキーでのアルパインクライミングの経験が浅かったんですね。これまでにも何度かロッキーの山へチャレンジはしていましたが、実力が足らずにどれも敗退していました。そんな悪循環を脱するために、今年の秋はメンバーのボブに誘いをかけ、山に向かいました。その第一弾として選んだのが、今回の舞台であるマウント・サーダグラス北西壁(3406m)でした。
久々にキャンプ装備を担いで山奥へと進んで行く |
駐車場から延々ラッセルを続けていくとマウント・サーダグラスが見えて来た |
気合を入れていけばぎりぎり日帰りが可能な山ですが、今回は足慣らしそして、体力トレを兼ねているので重荷を背負い、壁の基部で1泊の予定で向かいました。例年よりも雪の量が多くずっとラッセルのためスピードが上がらないので、結果オーライでした。
翌朝のサーダグラス |
朝日の出前に起きるが、辺りが真っ暗すぎて余裕の道迷い。手前の雪壁を登り詰め、稜線に出たところで間違えに気づく。。。500mくらいは登ったかな。(ただの体力トレっす。さすが、ロッキー山がデカすぎ。)ほぼテントサイトと同じ標高に戻り、再度本来の道を登り返すと、ようやく写真の景色が見えて来た。見えてからが遠いのが、ロッキーあるあるです。
無名の氷河を超えていく |
前の写真の壁の下にある白い部分は氷河です。小さい氷河ながらも雪のせいでヒドゥンクレバスに足を取られたりしました。本当のアルパイン(氷河上)クライミングが身近にあるのは本当に幸せな環境ですね。
ようやく壁と対峙。
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傾斜は寝ているが、久しぶりのアルパインクライミングに、体力的にはヘロヘロ。 ここから先は物語風な語り口でクライミングの臨場感を味わい下さい。
基本的には傾斜のある雪壁を同時登攀する。 |
大きい山に登るのにスピードは不可欠。多少のリスクを取ったとしてもスピードを優先した方が、安全な場合は多々ある。簡単なセクションほど、いかに時間を短縮できるかで、登攀の成否が決まる。
もうすぐ頂上。どこまでも続くロッキーの峰々 |
天気は悪くないが、しかしロッキーの山はやはり甘くない。標高が高いだけあって、この日の気象条件は本当に厳しかった。壁に入ってからずっと四方八方から雪が混じった風が吹き荒れ、呼吸もままならない。ロッキー特有の風「シュヌック」だ。ここでは天気がいい日こそ注意が必要。満点の星空の朝は放射冷却で凍えるほど寒くなり、暖かい時ほど時速50キロを超える強風が山の上で吹きつける。
頂上にてガッツポーズ |
ボブの顔を見ればどれほど風が強かったかお分かり頂けるであろう。二人が思っていることは「景色はどうでもいい。早く下山したい。」。
下山時には風が強すぎるので、チリ雪崩がそこらじゅうで頻発し始めた。流石ロッキーどこまでも歓迎ムードだ。雪崩のサイズは小さいので、多分吹き飛ばされることはないと思う。が、登りよりは少し慎重にプロテクションを取りながらクライムダウンでドンドンと標高を落としていく。雪崩の追撃を避けつつ、氷河に切れ落ちた雪崩の通り道であるガリー地形を間一髪トラバースし終えると、無事に緩やかな氷河上に抜けることができたのであった。(完)。
下山時、雪煙を上げるマウント・バードウッド |
何はともあれ無事に目的の山に登ることができた。久々の山の頂上に立てた充実感は、家に帰ってから沸々と湧いてきて、山を志している人なら誰もが味わったことのある感覚を久々に感じることができた。今回の山で私が(ボブも?)感じたことはアルパインクライミングは、山に行かなくてはできない。クライミングだけでは登れない。グレードでは測れない危険と困難を乗り越えて頂上に立つ行為。そんな当たり前のことを改めて学ぶことができた山行になったのでした。今季は出来る限りクライミング能力を維持しつつ、山へ通い、来るべき未踏のビックラインに向けて精進しようと思います。
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