冬に入って来ましたが、いかがお過ごしですか?
冒頭の写真はリンクアップの仲間のボブといったDark Nutueというレイクルイーズにあるミックスライン、ロッキーは冬全開ですね。
さて昨今の東京五輪へ向かってのクライミングブームすごいみたいですね。
色々な話をよく耳にするのですが、ジムがあるというのは素晴らしいですね。
ある意味、登山の講習会や学びの場が駅前にあるわけですから。
僕が始めた頃は、登山を学ぶと言うのは大学や社会人のクラブ(山岳会)に属するか、ガイドの講習会くらいしか選択肢がありませんでした。
ここ10年でインドアクライミングに関しては門戸は非常に広がったと言えるのではないでしょうか?
さてそんな中、アルパインクライミング(氷雪を含む)を学ぶ場所というのは未だに増えていません。というか国によっては廃れていく傾向にあるようです。
理由は非常に簡単で、不確定な要素が高すぎる。これに尽きると思います。
もう少しわかりやすくいうと自分の能力でどうにもできない危険が存在し、
それに巻き込まれて怪我または致命的な事態に陥るということです。
トップクライマーのヨセミテビックウォールフリーの記録が一番いい例だと思います。
自分の限界を押し上げる行為の中で不確定な要素(雪崩、落石、気象など)
を比較的避けた状態でトライできる、また怪我をしたとしても救助などが比較的しやすい(天候が安定している、雪崩の危険がない、携帯が通じるなど)
今後このジャンルがもっと伸びていくのは間違い無いでしょう。
さて話を戻してアルパインクライミングはこの全てを自分で受け止める行為とも考えられます。
特に初登攀、初登頂などは情報が少なく、そのエリアの雪質、天候、地形の影響など
全て受け入れ、しかも事故があった場合、足の骨折でも、その結果、歩けない→凍傷、低体温→死亡と簡単な怪我でも死に至ります。
それを全て加味した上で最大限安全なルートを選び、最大限、限界に近いラインを引いていくわけですのでベクトルとしては真逆になります。
だからこそ壁を抜け頂上に立った時の達成感は何者にも代え難いですね。
しかし、みんな死にたくない。
なのでパートナー探しに苦労しますし、師弟関係や登山学校(ガイドになるためや商業的なものは除く)など学びの場は非常に限られます。
アルパインクライミングには色々な要素が本当にあって、全てが経験だけで語れないのですが、やはり経験のあるクライマーといくのが一番の学びであることは変わりません。
僕らガイドはアルパインガイドであってアルパインクライマーでは無いですので、
ガイドに学んだところでアルパインクライマーを目指す若者にはあまり意味のないことかもしれません。やはり今も第一線で登りたいラインを探し、日夜登っている人と一緒に登るこれが一番いいと思います。
僕が日本にいた時はウィンタークライマーズミーティングがそれに当たっていたと思いますが、これはイギリスのクライマーズミートにアイデアを得ており、昔は2年に一回だったクライマーズミートも今は毎年あり、一年は夏、一年は冬、というようにおこなられています。
世界各国から生きのいいクライマーが集い、地元のクライマー達と登り、交流を深め、そしてパートナーを見つけ、ヒマラヤなどで素晴らしい結果を収めていく。素晴らしいシステムだと思います。
ただこれじゃここに参加するってことは国代表じゃんって話ですが、残念ながらそうですね。参加する時点である程度のレベルを求められているのは間違い無いでしょう。
じゃ俺どうやったらそこに行けるの?って話ですが、日本以外の他の国では次世代アルパインクライマーに対してどのような取り組みがおこなられているか見てみましょう。
さーて前置きが長くなりましたが、ここからが本題ですね。
アメリカ/ Alpine Mentors
期間 2年
費用 無料
年齢制限 昔30歳までって書いてたんですが、今見たら見つからないですね。
発足 2012年
詳細はリンクひらけばですが、基本的に世界的アルパインクライマーのスティーブ・ハウス氏が主宰するプログラム。
今年は2グループに分かれて動いてるようですが、講師がパタゴニアアンバサダー目白押しなプログラムですね。
世界中の山々が登れるすごいプログラムですね。
First ascentも結構してますね。
スロベニア/Slovenian young alpinists group ウェブサイト見つからず
期間 3年のプログラム
費用 不明
年齢制限 不明
発足 2012年
Alpine Association of Sloveniaの中から10人の若者を選出し
彼ら自身で登る山を決め、それに向かってのトレーニング、や装備、技術など全ての面での技術を支援する、とのことです。
熱いですね東欧は。
ニュージーランド/New Zealand Alpine Team
期間 3年
費用 不明ですが多分無料
年齢制限 18−27歳まで
発足 2012年
3−4人の少人数でなるプログラムで、ヨセミテ、カナディアンロッキー、ペルー、パタゴニア、ヒマラヤと世界各地で登り滑る。ニュージーランド人のみも書かれてますね。
参加するには書類選考以外にトライアルがあるようですね。トラッドと体力テストが核心のようです。
詳しくはリンクで。
このチームとはロッキーのアイスで数回会いましたが、マジですごいですね。話を聞くとやはり NZもアルパインクライミングが廃れてきててなんとか若いクライマーを死なないように、育てていくプログラムを必死で考えてるっていってました。
オーストリア/Naturfeunde Alpinekader ウェブサイト見つからず
期間 3年
費用 不明
年齢制限不明
発足 2012年
最初の年はスポートクライミングから始まり冬山登山、2年目からは遠征が多数あり
2014年はペルーに行ってるようですね。
ここまでは5−8年ほどで立ち上げたプログラムがほとんどです。どの国もアルパインへの危機感があるのでしょう。
あとドイツ、フランス、スペインがあるんですが、すべて似てます。
フランスは1991年からのプログラム、スペインは1997年、ドイツは2000年からです。
このほとんどが国の山岳会によるもので(ドイツ山岳会など)
2−3年のプログラムです。次世代の6人の男性、6人の女性からなるグループで構成されてます。
残念ながら、カナダ山岳会は、リーダーシッププログラムという名前ではあるのですが、
有料で、一週間のコースが年複数回あるだけですね。
ただ登山や雪崩教育の奨学金はかなりあるので、その部分はいいですね。
この話はまだいつか話せたらいいですね。
最後に、
全てを網羅することはできませんが、
こうしてみると2−3年の長い期間でじっくり育てようとしてくれてるのがわかります。
そのほとんどが無料であり、若い世代に限定した特別なプログラムですね。
強くなるためには山に行って自分の限界を押し上げて行くわけですが、アルパインはなかなかそうはいきません。
なぜなら失敗は成功の母と言いますが、
アルパインクライミングではどんな簡単なルートでも
失敗が重大な結果(死)に繋がるという非常に危険な行為でもあるからです。
なので死なない程度に失敗という話はなかなか難しいわけです。
やはり若い頃は無茶をしがちと言いますが、まさに若い時こそ、こういう第一線で活躍するアルパインクライマーと師弟関係を結べる場は素晴らしいと思います。しかも複数年。
他と少し比較しますが、
ロッククライミングで限界を押し上げる場合、
技術がしっかりしていれば、比較的安全に学ぶことができ、
講習も頻繁です。上級者と必ずしも一緒に登る必要性がなく、それでも上手くなっていきます。アルパインと比べ成長の伸び率が早く今やジムはどこにでもあります。
雪崩や落石に遭う確率も格段に低く、骨折しても凍死する可能性は低いと言えます。
しかもロックはムーブが多彩で楽しい!!ここがアイスやミックスと違いですね。
写真はザイオンのクラック。
山岳スキーは限界を押し上げていく場合、同じような危険を伴いますね。危険です。雪崩、少しのミスも命取りですね。ただ業界としてコミュニティーとして学ぶ場所、メーカーのサポート、そしてなりより競技人口などは格段に山より多く、ゲレンデで練習できる、スキー競技のバックグラウンドがあるなど、いろんな意味でも、まだアルパインより学ぶ機会は多い気がします。これに関しても必ずしもメンター(師匠)を得る必要性はなく、仲間で技術をある程度まで押し上げて行くことができると思います。(もちろんいたほうが早い)
さらにいうとアルパインクライマーは一日、いや数日以上全ての危険に晒されますが、
スキーは数十分だけその危険に晒されてることになりますので、やはり危険度で言えば
アルパインクライミングが流行らないのはよくわかります。
写真はカリブー氷河縦走の一コマ。
しかしながらアルパインクライミングというのが登山の原点であり、頂上に行くためには
全てをこなし、全ての危険を受け入れ、そしてそれを乗り越えていく力が必要なわけです。
そのアルパインクライミングが流行らなくてもいいですが、少しづつでも育て応援できるようなコミュニティーを作っていけたら素晴らしいですね。
今回、他の国の登山の教育プログラムを調べてみて改めて若手アルパインクライマーを育てるって難しいんだなと思う反面、やはりそれを頑張っている若者を応援したいと強く感じました。
さて僕もガイドだけでなく、自分の登りも追求し続けないと、アルパインメンターにはなれないですね〜。がんばろー。
ではまた次回。
冒頭の写真はリンクアップの仲間のボブといったDark Nutueというレイクルイーズにあるミックスライン、ロッキーは冬全開ですね。
さて昨今の東京五輪へ向かってのクライミングブームすごいみたいですね。
色々な話をよく耳にするのですが、ジムがあるというのは素晴らしいですね。
ある意味、登山の講習会や学びの場が駅前にあるわけですから。
僕が始めた頃は、登山を学ぶと言うのは大学や社会人のクラブ(山岳会)に属するか、ガイドの講習会くらいしか選択肢がありませんでした。
ここ10年でインドアクライミングに関しては門戸は非常に広がったと言えるのではないでしょうか?
さてそんな中、アルパインクライミング(氷雪を含む)を学ぶ場所というのは未だに増えていません。というか国によっては廃れていく傾向にあるようです。
理由は非常に簡単で、不確定な要素が高すぎる。これに尽きると思います。
もう少しわかりやすくいうと自分の能力でどうにもできない危険が存在し、
それに巻き込まれて怪我または致命的な事態に陥るということです。
トップクライマーのヨセミテビックウォールフリーの記録が一番いい例だと思います。
自分の限界を押し上げる行為の中で不確定な要素(雪崩、落石、気象など)
を比較的避けた状態でトライできる、また怪我をしたとしても救助などが比較的しやすい(天候が安定している、雪崩の危険がない、携帯が通じるなど)
今後このジャンルがもっと伸びていくのは間違い無いでしょう。
さて話を戻してアルパインクライミングはこの全てを自分で受け止める行為とも考えられます。
特に初登攀、初登頂などは情報が少なく、そのエリアの雪質、天候、地形の影響など
全て受け入れ、しかも事故があった場合、足の骨折でも、その結果、歩けない→凍傷、低体温→死亡と簡単な怪我でも死に至ります。
それを全て加味した上で最大限安全なルートを選び、最大限、限界に近いラインを引いていくわけですのでベクトルとしては真逆になります。
だからこそ壁を抜け頂上に立った時の達成感は何者にも代え難いですね。
しかし、みんな死にたくない。
なのでパートナー探しに苦労しますし、師弟関係や登山学校(ガイドになるためや商業的なものは除く)など学びの場は非常に限られます。
アルパインクライミングには色々な要素が本当にあって、全てが経験だけで語れないのですが、やはり経験のあるクライマーといくのが一番の学びであることは変わりません。
僕らガイドはアルパインガイドであってアルパインクライマーでは無いですので、
ガイドに学んだところでアルパインクライマーを目指す若者にはあまり意味のないことかもしれません。やはり今も第一線で登りたいラインを探し、日夜登っている人と一緒に登るこれが一番いいと思います。
僕が日本にいた時はウィンタークライマーズミーティングがそれに当たっていたと思いますが、これはイギリスのクライマーズミートにアイデアを得ており、昔は2年に一回だったクライマーズミートも今は毎年あり、一年は夏、一年は冬、というようにおこなられています。
世界各国から生きのいいクライマーが集い、地元のクライマー達と登り、交流を深め、そしてパートナーを見つけ、ヒマラヤなどで素晴らしい結果を収めていく。素晴らしいシステムだと思います。
ただこれじゃここに参加するってことは国代表じゃんって話ですが、残念ながらそうですね。参加する時点である程度のレベルを求められているのは間違い無いでしょう。
じゃ俺どうやったらそこに行けるの?って話ですが、日本以外の他の国では次世代アルパインクライマーに対してどのような取り組みがおこなられているか見てみましょう。
さーて前置きが長くなりましたが、ここからが本題ですね。
アメリカ/ Alpine Mentors
期間 2年
費用 無料
年齢制限 昔30歳までって書いてたんですが、今見たら見つからないですね。
発足 2012年
詳細はリンクひらけばですが、基本的に世界的アルパインクライマーのスティーブ・ハウス氏が主宰するプログラム。
今年は2グループに分かれて動いてるようですが、講師がパタゴニアアンバサダー目白押しなプログラムですね。
世界中の山々が登れるすごいプログラムですね。
First ascentも結構してますね。
スロベニア/Slovenian young alpinists group ウェブサイト見つからず
期間 3年のプログラム
費用 不明
年齢制限 不明
発足 2012年
Alpine Association of Sloveniaの中から10人の若者を選出し
彼ら自身で登る山を決め、それに向かってのトレーニング、や装備、技術など全ての面での技術を支援する、とのことです。
熱いですね東欧は。
ニュージーランド/New Zealand Alpine Team
期間 3年
費用 不明ですが多分無料
年齢制限 18−27歳まで
発足 2012年
3−4人の少人数でなるプログラムで、ヨセミテ、カナディアンロッキー、ペルー、パタゴニア、ヒマラヤと世界各地で登り滑る。ニュージーランド人のみも書かれてますね。
参加するには書類選考以外にトライアルがあるようですね。トラッドと体力テストが核心のようです。
詳しくはリンクで。
このチームとはロッキーのアイスで数回会いましたが、マジですごいですね。話を聞くとやはり NZもアルパインクライミングが廃れてきててなんとか若いクライマーを死なないように、育てていくプログラムを必死で考えてるっていってました。
オーストリア/Naturfeunde Alpinekader ウェブサイト見つからず
期間 3年
費用 不明
年齢制限不明
発足 2012年
最初の年はスポートクライミングから始まり冬山登山、2年目からは遠征が多数あり
2014年はペルーに行ってるようですね。
ここまでは5−8年ほどで立ち上げたプログラムがほとんどです。どの国もアルパインへの危機感があるのでしょう。
あとドイツ、フランス、スペインがあるんですが、すべて似てます。
フランスは1991年からのプログラム、スペインは1997年、ドイツは2000年からです。
このほとんどが国の山岳会によるもので(ドイツ山岳会など)
2−3年のプログラムです。次世代の6人の男性、6人の女性からなるグループで構成されてます。
残念ながら、カナダ山岳会は、リーダーシッププログラムという名前ではあるのですが、
有料で、一週間のコースが年複数回あるだけですね。
ただ登山や雪崩教育の奨学金はかなりあるので、その部分はいいですね。
この話はまだいつか話せたらいいですね。
最後に、
全てを網羅することはできませんが、
こうしてみると2−3年の長い期間でじっくり育てようとしてくれてるのがわかります。
そのほとんどが無料であり、若い世代に限定した特別なプログラムですね。
強くなるためには山に行って自分の限界を押し上げて行くわけですが、アルパインはなかなかそうはいきません。
なぜなら失敗は成功の母と言いますが、
アルパインクライミングではどんな簡単なルートでも
失敗が重大な結果(死)に繋がるという非常に危険な行為でもあるからです。
なので死なない程度に失敗という話はなかなか難しいわけです。
やはり若い頃は無茶をしがちと言いますが、まさに若い時こそ、こういう第一線で活躍するアルパインクライマーと師弟関係を結べる場は素晴らしいと思います。しかも複数年。
他と少し比較しますが、
ロッククライミングで限界を押し上げる場合、
技術がしっかりしていれば、比較的安全に学ぶことができ、
講習も頻繁です。上級者と必ずしも一緒に登る必要性がなく、それでも上手くなっていきます。アルパインと比べ成長の伸び率が早く今やジムはどこにでもあります。
雪崩や落石に遭う確率も格段に低く、骨折しても凍死する可能性は低いと言えます。
しかもロックはムーブが多彩で楽しい!!ここがアイスやミックスと違いですね。
写真はザイオンのクラック。
山岳スキーは限界を押し上げていく場合、同じような危険を伴いますね。危険です。雪崩、少しのミスも命取りですね。ただ業界としてコミュニティーとして学ぶ場所、メーカーのサポート、そしてなりより競技人口などは格段に山より多く、ゲレンデで練習できる、スキー競技のバックグラウンドがあるなど、いろんな意味でも、まだアルパインより学ぶ機会は多い気がします。これに関しても必ずしもメンター(師匠)を得る必要性はなく、仲間で技術をある程度まで押し上げて行くことができると思います。(もちろんいたほうが早い)
さらにいうとアルパインクライマーは一日、いや数日以上全ての危険に晒されますが、
スキーは数十分だけその危険に晒されてることになりますので、やはり危険度で言えば
アルパインクライミングが流行らないのはよくわかります。
写真はカリブー氷河縦走の一コマ。
しかしながらアルパインクライミングというのが登山の原点であり、頂上に行くためには
全てをこなし、全ての危険を受け入れ、そしてそれを乗り越えていく力が必要なわけです。
そのアルパインクライミングが流行らなくてもいいですが、少しづつでも育て応援できるようなコミュニティーを作っていけたら素晴らしいですね。
今回、他の国の登山の教育プログラムを調べてみて改めて若手アルパインクライマーを育てるって難しいんだなと思う反面、やはりそれを頑張っている若者を応援したいと強く感じました。
さて僕もガイドだけでなく、自分の登りも追求し続けないと、アルパインメンターにはなれないですね〜。がんばろー。
ではまた次回。
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