チーム「Link∞UP」は日本と北米の‘愉快で有益な’「マウンテンライフ」情報を日本と英語圏において共有をすること。 その生活を‘一生懸命楽しんでいる人達’のコネクション強化を図ることを目的に活動しています。 日本や北米でのマウンテンライフについて情報の欲しい方や私達に興味のある方はお気軽にご連絡下さい。

2019年5月25日土曜日

Vol174. 山中でのコミュニケーション手段を考えよう

GARMIN(ガーミン) inReach Mini Orange 010-01879-10
手のひらサイズインリーチミニ


 今回のブログはカナダから秋山がお届けします。

見知らぬ土地に山登りにでかけた時、一番困る、もしくは悩ましいのがレスキュー隊への連絡方法です。もし今までそんな事を考えたことがない!っていう人がいれば、それはマズイですね。携帯が多くの山域で入る日本でさえも上記のことは考えておかないと安心できないですし、いわんや山で携帯がほぼ入らないカナダなどに来た際、山奥で足首を挫いたらどうしますか? もし山スキーで板の片方をなくしてしまったら? 怪我、状況自体は対したことなかったとしても、その後の処置が悪いと、結果が大事になる可能性もあります。

山でレスキューは呼ばないと来てくれません、それが例えセントバーナードであってもです


カナダの国立公園であれば業務用無線を持っていれば、多くの場所から公園の緊急要請事務所にコールすることができますが、一般の人が無線を持つのは正直難しいです。携帯も入らない、無線もない。じゃーどうずればよいのでしょう?

一つのやり方はガイドを雇う。もちろんガイドは何かしらの連絡手段を持って山に入るので安心です。ひょっとして持っていないガイドもいるかも知れないので、雇う際にチャント確認しましょう。

もう一つは、ガーミン社などのGPS経由でのSOS発信機を購入し持参することです。日本で購入したものでも、北朝鮮などに行かない限り使用できますので、安心。

購入はアマゾンでも可能です。
GARMIN(ガーミン) inReach Mini Orange 010-01879-10

初期投資と月々の契約料が必要となりますが、自分、友達の命がかかっていると思えば安いものではないでしょうか? 備えあれば憂い無し。テクノロジーの発達により世界各国で使用できるというのも心強いです。

ちなみに、衛星経由でのSOS端末とは何か?
ざっくりいうと、GPS経由で救難信号を発信し、契約している会社(ガーミン社やSPOT社)のセンターが救難信号発信地点をGPS経由で割り出し、付近のレスキュー隊(日本だと警察)に連絡を入れてくれるという代物です。
レスキュー部隊にすると、どのような状況下はわからないが、ある地点にいる人が助けを求めているのでとりあえず向かう、という流れになります。

カナダの場合国立公園のレスキュー隊はこの発振器の携帯をオススメしているぐらいなので、問題なく使えますが、日本や他の国のレスキュー隊がどのようなスタンスを取っているかは、各自で調べてみて下さい。

ということで、山に行くには下記の組み合わせが考えられます。どの組み合わせが良いのかは、各自の山行形態、行く場所、仲間、と良く話し合い、リスクが少なくなるような組み合わせを考えて下さい。

1. 何も持っていかない
→ Good Luck, don't fuck up!!

2. 携帯
→ 日本では有効な手段ですが、もちろん携帯電波範囲外がありますのでご注意を。
スマホについているGPSとダウンロードしたマップ(日本ではField Access2や北米ならGaia GPS)でほとんどの事は可能です。私も普段はこの組み合わせです。
モバイルバッテリーを忘れずに

3. マップ表示ができるGPS(ガーミンオレゴンやEtrexなど)
→ バッテリーをほぼ気にしなくてずっと使えるのがグッドのポイントです。この端末だけではSOSは飛ばせないので、携帯、業務用無線、GPS SOS発信機のいずれかを組み合わせましょう。

4. 業務用無線
カナダと日本では周波数帯が違うので、日本の無線を持ってきても恐らく使えません。ご自身の機種の周波数帯を事前に調べましょう。

ガイドとしては、携帯+モバイルバッテリー+inReach+業務用無線をいつも持っているので、最悪の事態への対応は全て可能です。一般ユーザーがすべて持つことは中々難しいですが、ここでのポイントは、自分がどの通信手段が無いので、どのような制限が山の中のコミュニケーションにあるのかを把握している、という事です。
”レスキュー要請を出すことができないので、ここでは行動を控えよう”もしくはその逆、などの思考が取れることが重要なのです。

山行に行く場所によって装備は変わってきますが、少なくても私のホームグラウンド”カナダ”であれば、Garmin社のアイテムがオススメです。国立公園以外はレスキューのお金は有料ですので、チャレンジする山行がカバーされる保険の購入はお忘れないようにして下さい!

是非、準備万端でカナダの山に挑戦して下さいませー。

2019年5月16日木曜日

Vol.173 地元の山第2弾 巻機山

こんにちは。星野です。私は今、春のガイド試験を受けるために本州に来て、新潟の実家に滞在しています。北海道から桜前線を跨いで南下してしまったので、今年は満開の綺麗な桜が見れていないのは残念ですが、天気が良い日が続いていて、春山日和となっています。

今回は僕の地元の山、巻機山に春山スキーに行ってきましたので紹介します。
巻機山は日本百名山の1つで、標高1967m、山スキーでも有名な山です。昔、日本がバブルの頃、巻機山にスキー場を作る計画があったそうですが、清水部落の人達が反対し計画は流れたそうです。もしその時にスキー場が出来ていたら、この山の人気は今の様にはなっていなかったと思います。清水部落の人達は、金に目をくらまさず、未来を見据えて大事なものを守ったんだと僕は思いました。

登りは夏の登山道でもある井戸尾根コース。スタートは長靴でスキーを背負って歩くと思っていましたが、春に沢山雪が降った様でたっぷり残雪がありました。終始スキーを履いて歩けました。


歩き始めから2時間ほどは美しいブナの森の中を歩きます。北海道には少ない、本州ならではの雰囲気です。

ブナの森を抜けると大きな斜面が見えてきます。流石!今年のゴールデンウイークは10連休。沢山の人が遊びに来ていました。



急登を少し登ると「ニセ巻機山」ここまで来るだけでもいい景色とスキーが楽しめます。しかし、山頂方面には素晴らしい斜面が見えています。行くしかないですね!


ニセ巻機山から山頂までは1時間程。山頂はなだらかな山でした。ニセ巻機山には標識があったのに、山頂には何も無いのがどうかと思いましたが群馬県境、越後三山と眺めはすごく良かったです。そして下りはスキーなのであっという間。昼前には家に帰りました。家から1時間以内の場所に遊べる山があるって本当にいいですね。自分の地元の楽しさを改めて実感しました。今年のスキーはこれで最後です。

2019年5月8日水曜日

Vol.172 Mt ランドル カナディアンロッキーの登頂 その12



ご無沙汰してます。
谷です。

さて今回はバンフから見えるあの象徴的な山、ランドル山の登頂をご紹介。
せっかく滞在したならぜひ行って起きましょう。車もいりません。
バンフの街からバスに乗り普通に登ることができる素晴らしい山です。
ただ、標高差約1500mを一日で行って帰ってくるので、上高地から前穂の往復ができる人じゃないと厳しいですね。
もちろんカナダはワイルドなんで、ここに山小屋あるでしょって場所に何もありません。
なので技術は何も必要ないですが、とにかく体力は入ります。
ちなみに過去のロッキーの登頂ブログのリンクはこちら🔽

Mtヤムナスカ
バウンダリーピーク
ハーリンピーク
バカブー イーストポスト
ロダーピーク
テンピークス Mtリトル
ウィルコックスピーク
Mtバルディ
ワプタ Mtトンプソン
Mtアシニボイン
ウィンドタワー

始まりはボウ川沿いのゴルフコースです。
ちょっとわかりづらいので地図乗っけときます。
バスでバンフスプリングスホテルまで行って歩けばバンフのどこに滞在してても相当近いですね。ちなみにキャンモアからもバスがあります。
橋を渡ったら右手のコースを横切ります。


するとこんな感じの景色
これからあそこに登るぞー。
するとこういう看板がすぐ出てきます。
しばらく(5−10分)歩くと
割れてますが看板がもう一つ。ジャンクションになっていて向かって左側の登山道を取ります。看板は直ってるかもしれませんが基本一緒。
登山道は最初こんな感じで緩やか。


途中からこのようなガリーを横切りますが、このあたりはまだ道標あり。

道標がなくなってくるあたりから急で道が不明瞭ですが、木の皮に傷がつけてあって
一応わかるようになっている。

森林限界を過ぎると、ドラゴンズバックと言われる難所のスラブ
上から見た感じ。
ちなみにクライミングしたことある人なら歩きなので何の問題もなし。
経験がない方はガイドを頼みましょう。両サイドが切れ落ちて滑ると危険な場所です。
がれ場を抜けるとファーストピークが見えてくる。
カスケード山やボウ川も眼下に。
ちなみにがれ場が本当にひどいです。ルートファインディングも難しい。日本でがれ場歩いたことない人はガイドといった方がいいです。ベストなラインを登らせてくれます。
がれ場の不安定さは三歩進んで二歩下がる的な感じ。

はい登頂です。


所要時間、登山口のゴルフコースから約9−11時間。
特別な技術は入りませんがヘルメットあってもいいかもしれません。
体力に自信がある方、元気な方、ぜひトライしてください。
バンフの街に戻れば振り返ればいつもランドルがあります。最高ですよ。


2019年5月3日金曜日

Vol.171 尾瀬沼を渡る

元号が変わりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。令和(まだ自動変換してくれない)元年最初の投稿は、息子と自分の風邪によりGWは家で過ごすことがほぼ確定したカネイワがお送りします。世間はどこかお祭りムードですが、私はほぼ通常運転です。つまり、元号が変わっても自分がすることはたぶんあまり変わらないということ、すなわち「くうねる、そしてやまのぼってすべる」です。そんなシンプルな私の山スキーシーズンも、もはや終わろうとしています。今回は、シーズン最後のスキー山行となるであろう春の燧ヶ岳を紹介したいと思います。

凍結した尾瀬沼から見る燧ケ岳

正直、燧ケ岳に登ったのは季節問わず今回が初めてです。以前、夏に尾瀬ヶ原と尾瀬沼に来たことはあるのですが、その時は山には登りませんでした。確か写真が...と昔の外付けハードディスクをブーンッと起動してみます...。

2012年夏の尾瀬沼

と、ありました!!!
これはもう湖ですね!って服部さんも言ってくれそうな大きさだ!尾瀬沼は偉大なり!いや、遥かなり!
※夕張メロンピュアゼリーCMにおける服部幸應さんの「これはもう果物ですね」という名台詞は有名ですよね(果たしてこれは道民以外には通用しないのだろうか)

ザックの中身が気になる!

そして、やはりニッコウキスゲの写真もありました!というより、私はこの時この黄色い方のザックがどうなっているのかとても興味津々に眺めており、ついには盗撮してしまったのでした。

さておき、話がとりとめのない方向に行きそうなので、このあたりで平成から令和へ話を戻したいと思います(あ、山行当日はまだ平成か)。

大清水口。ゲートをくぐるとそこには雪が

入山口はこちら、大清水でございます!みんな大好き鳩待峠よりは不人気で(林道歩きが長いから?)、しかし標高が低いせいか鳩待峠より道路の除雪はたぶん少し早い。そして、何より人が少ない!ここが私にとって最重要でございます。

長い林道歩き

とはいえ、雪があれば山スキーヤーにとってはさほど苦ではありません。行きは独り言したり黙々としたりしてひたすら歩くのみ。帰りは滑って来れます(午後に再凍結した林道が滑り具合はベスト)。

アニマルトラック!小型ですがクマさん起きてます!

つい最近踏んだであろうツキノワグマの足跡もありました。大きさはだいたい13センチ程度でしょうか。「5歳以上の雄の可能性」が高いようです。なお、この日この近くで熊の親子3匹を樹上に見つけたという方がTwitter上にいらっしゃいました!


写真には写っていませんが(写真より安全を優先して素早くその場を離れたそうです)、稀有な機会ですね。この場所は通りませんでしたが、私もニアミスでした。

燧ケ岳が見えた!

はい、そんな約 3.5km の長い林道を越えて山に入ると、やがて目指す燧ケ岳が見えてきます。目指すは三平峠。名前も見た目も結構地味な場所なのですが、なんと「利根川水系と阿賀野川水系の分水嶺」だそうです。いずれも日本を代表する一級河川がここを起点にしているなんて、なんとなく感動的です。なんとなく。

自撮りポイント

そして...ついに完全凍結した尾瀬沼に降り立ちました!いわゆる「ガチのかなづち」の私は、たとえ凍結していても湖に降り立つのはとても恐ろしいのですが、スキーを脱いで(スキーを履いていた方がまだドボンしにくい)自撮りしてしまうくらい素晴らしい光景でした。ちなみに「標高は1660Mと高く、日本では、これより高く尾瀬沼より大きい湖沼・池は無い」らしいです(このあたりはだいたいWikipedia情報)。

ちなみに、滑るのはこのど真ん中の広くて白い所「ナデッ窪」で、夏は登山道があるようです。

ナデッ窪上部より見た尾瀬沼

今回は朝早く雪も締まっていたので、登るのもここにしました。雪崩の可能性が低ければ思い切って沢を詰めてしまうのが、時として手っ取り早い(時として危ない)ですね。沢には前日までのシュプール(そのほとんどがスノーボードだった)があったので、帰りは少しラインを変えて滑走しました。

目指すはより標高の高い柴安嵓だったので、爼嵓はトラバースで省略しました。傾斜があるので雪質次第ではここも怖いかも知れません。

燧ヶ岳山頂

最後の数メートルだけは少し急な雪壁で、面倒だったが安全第一でアイゼンに切り替えてシートラしました。そして、絶頂。爼嵓には数名の登山者が見えるがこちらはまだ私だけ。この日は墓石のような山頂の碑に手を合わせました。今年はこの山で山スキーの事故があったのです。

燧ヶ岳より至仏山を望む

「広大な尾瀬ヶ原を差し挟んで東西に対立している燧岳と至仏山。燧の颯爽として威厳のある形を厳父とすれば、至仏の悠揚とした軟らかみのある姿は、慈母にたとえられようか。原の中央に立ってかれを仰ぎ、これを眺めると、対称の妙を得た造化に感歎せざるを得ない。」

~『日本百名山』深田久弥より~

2015年4月至仏山から見た燧ヶ岳

至仏山と燧ヶ岳の素晴らしい対称性を誰か文章にしていないかと思ったら、深田先生が書いていたので最後にそのまま引用させて頂きました。いずれの山も素晴らしい山で、そして、春の山スキーに最適です。今回の山行はこちらにまとめましたので、良ければご参照ください!それでは、ごきげんよう。

来シーズンも雪と幸運に恵まれますように。