チーム「Link∞UP」は日本と北米の‘愉快で有益な’「マウンテンライフ」情報を日本と英語圏において共有をすること。 その生活を‘一生懸命楽しんでいる人達’のコネクション強化を図ることを目的に活動しています。 日本や北米でのマウンテンライフについて情報の欲しい方や私達に興味のある方はお気軽にご連絡下さい。

2018年1月30日火曜日

Vol.109 日高山脈 カムイエクウチカウシ山

こんにちは。星野です。

今年の北海道は、暖かくなったり寒くなったりが、忙しい冬になっています。やっぱり冬は冬らしく、ピリッと寒い方が気持ちがいいんですが、なんだか気温の変化が激しいので、久しぶりに風邪を引いてしまい、5日間くらい寝込んでしまいました。皆さんも気を付けて下さい。

今回は、正月明けに登ってきたカムイエクウチカウシ山です。
カムイエクウチカウシ山。なんだか変な名前ですが、北海道の日高山脈にある、標高1,979mの山で、名称はアイヌ語の「熊(神)の転げ落ちる山」に由来するそうです。略してカムエクと呼ばれています。過去に北大山岳部雪崩遭難事件や、福岡大学ワンダーフォーゲル部ヒグマ事件など、悲しい歴史もありますが、北海道では結構人気のある山です。登ってみたいと思っている人も多いはず!

今回は、クライミングやスキーでは無く、純粋な冬山登山です。冬山での生活術を学ぶならば、これが1番ですね。メンバーは僕が所属する山岳会の人達。総勢8人と大所帯。行程は3泊4日です。
まずは工事が中止され、もう開通する事の無い日高横断道路をひたすら歩き約6時間、日高山脈の奥深くへと入っていきます。道路を車で入って行けたら1泊2日で行けるのにな~。道路があるおかげでアプローチが楽になっているのも事実ですね。
2日目に尾根を登り始めます。大人数でラッセルを交代しながら進んでいくスタイルの登山は、賑やかで楽しいし、疲れたら変わってもらえるし、チームって素晴らしいですね!
静かな森の中をどんどん登って行きます。
そしてここが、この日のテント場。日高の国境稜線が見える、素晴らしいテント場でした。ここをベースとし、次の日山頂を往復です。酒を飲んでしまうので、写真が無いのですが、毎晩の夕食がとても豪華で、牛筋鍋や酢豚、チーズフォンデュにキーマカレー。自分で撃った鹿で作った、自家製鹿肉チャーシューまで出てきてました。米もアルファ米を使わない辺りが、北海道スタイルを感じます!量もすごくて、山行終わって体重測ったら、全く減ってませんでした。こんなに食料持ってこれるのも、大人数だからこそですね!
3日目、視界はそんなに良くなかったものの風もさほどなく、何とか頂上に行けそう。時折見える日高の細くて美しい国境稜線!写真で伝わるでしょうか?
稜線上は風を遮るものが何もないので結構寒いです。
結局山頂でも視界はありませんでしたが、三角点もあったし、ここが頂上のはず!ってな具合で、やっぱり視界って大事ですよね!?山頂行っても景色見えないとなんだか良くわかんないし。景色想像だけして帰ってくるの寂しいし。写真ただ白いだけだし。でも全員で山頂踏めて良かったです!!めでたしめでたし!

今回の1枚です。
PatagoniaのFitz Royです。ここで同じく旅の途中だった、メンバーの嶮村君夫妻と合流し新年を迎えました!この時は旅の途中に寄っただけでしたが、次回は絶対クライミングしに行きたい場所です!町も人も肉も素晴らしい場所でした。

2018年1月24日水曜日

Vol.108 雪が悪くても季節を楽しむ

 こんにちは、今回は富山から劔村がお伝えします。
雪が悪くても私なりにこの季節を楽しむ方法を書いてみたいと思います。
 
二十四節気の大寒を過ぎ、最も寒さが厳しいこの時期ですが先週までの大雪はどこへ行ったのか街中の雪は融け山でも雨が降る日が続きました。

 先日、長野県の野沢方面へスキー旅に出たのでそれについて触れてみたいと思います。
野沢温泉スキー場をはじめ、いくつかのスキー場を有するこの地は千曲川を中心に東西を山に囲まれた美しい谷に広がるエリアです。日本でも有数の豪雪地帯なのですが、今回訪れた際は数日前の雨の影響で融雪が進み朝晩の冷え込みで斜面はカリカリの状態になっていました。

 当初の予定を変更して、鍋倉山の麓に広がる高原にて散策や里山滑走を楽しむことにしました。今回は、このエリアを毎年訪れている愉快な仲間たちに同行させてもらう形で訪れたが、宿泊先は鍋倉高原にある森の家という数棟コテージがある夏でも家族連れが楽しめそうな場所であった。

コテージから山に向かい森を抜けると一気に視界が開けなだらかな斜面が続いている。快晴で雪面がカチカチの中を軽快にハイク、お茶をしてから短い滑走を楽しんだ。

 今回は例外的に雨の後という悪条件だったため山に入ることは控えたが午後になり雪が緩みはじめたタイミングで里山に入ることにした。
 昼までの滑落しそうな雪質は、春を思わせるザラメに変わり歩きやすい。今回のメンバーはアルペンスキー、スノーボード、そして私はテレマークスキーで道具は違うが山歩きと滑りが好きなメンバーで登っていく。


名もなき山、小さな集落の裏山を登り日が傾く前に滑走準備、良さそうな斜面を見つけ滑り込む。春のようなザラメ雪の斜面を気持ちよく滑り悪条件ではあったが満足感を味わうことができた。夜は仲間たちと美味しい食事を囲んで宴を楽しませてもらった、夜間の降雪に期待して眠りにつく。


 翌朝、快晴で降雪はほぼゼロ。パウダーを楽しむことは今回諦めていたのであえてスキー場を目指すことにした。
行き先は初訪問となる木島平スキー場、なんとここには800mの橇コースがあるのです。気になる方はネットで見て下さい。


もちろん降雪がなかったこと、数日前の雨と昨晩からの低温で全面アイスバーン。これはこれで高速で滑走できるので爽快、家族連れが多いので周囲を気にしながら思い思いのターンを楽しむことができた。信州飯山エリアを一望できるこのスキー場、斜度は緩めだが視界の広がりはピカイチでした。10時から15時くらいまで滑り倒したのであった。

 今回の旅は、パウダー狙いであったのは間違いないが気象条件、日程、エリア、メンバーなどによってその条件で楽しむ方法を考え動くことができ満足いく旅とすることができた、同行させてもらったメンバーに感謝したい。
次に訪れる時にはニヤけるくらいの深雪を味わいたいものです。

最後に冬の味覚をちょっと。山の幸、海の幸ということで猪肉、あん肝を。

今週から関東でも雪となり最強寒波がやってきているので災害にならない程度に山にもいい雪をもたらして欲しいと思いながら今回の記事を締めたいと思います。

2018年1月18日木曜日

Vol.107 二度目のニペソツ

新井氏が見たであろうニペソツ山の東壁

僕がニペソツ山に登る理由はだいたい100個くらいあって、1つ目は新井裕己がニペソツに遺した「Bum's Life」を滑ってもいいかな、なんて思っていること。あ、すみません、1つしかありませんでした…。

ニペソツ山は中高年に大人気な「日本百名山」にこそ選ばれなかったものの、深田久弥をして「日本百名山を出した時、私はまだこの山を見ていなかった。ニペソツには申し訳なかった」と言わしめた「立派な山」である。北海道の東大雪に位置し、標高も2,013mと北海道では高い部類に属す。山名は「アイヌ語のニペソチnipes-ot-i「シナノキの樹皮(内皮)・~が群在する・もの」が略されて伝わったとかいう説があるとウィキペディアに載っている。

高校を卒業するまで北海道で育った私だが、当時山には何の興味もなく「ニペソツ」の「ぺ」の字も聞いたことがなかったし、初めて見たのはたぶんGoogleとかで、一昨年の12月に初めて訪れるまで実際に見たこともなかった。そんな私がこの山を登りたい、滑ってみたいと思ったのは、他でもなく2003年1月に新井裕己がニペソツ山東壁に引いたという「Bum's Life」という滑走ラインをなぞってみたかったからである。

橋を渡り尾根に取り付くと、朝陽が差し込んだ

私の動機をより細かく分けるならば、1つ目は新井裕己という人物に、どこかシンパシーのようなものを感じていたこと、2つ目は初滑降から15年が経過した今でも未だに一人にしか滑られていないラインであること、3つ目はこれが日本の急斜面滑降における最難課題の1つと目されること、等である。私はこの男が命を削りながら(少なくとも左膝脛骨内顆骨折しながら)この壁に拓いた滑降ラインを実際に滑ることで、彼の体験のごく一部でも追体験したいと思っていたし、またその難易度を体感し、確認してみたかったのだ。

新井氏が遺した記録は、少なくとも私にとっては伝説のようなものであり、他に滑っている人がおらず、滑走時に撮影された写真や動画も見当たらない、既存ルートでありながら未知の要素を孕んだ好奇心を刺激するものであった。

私が初めてニペソツに挑んだのは一昨年の年末だった。この時は登路を誤り、うかつにもデルタルンゼ上部で雪崩のトリガーを引き、50~100m流され仲間の一人が肩を脱臼し、敗退の憂き目にあった。この時は件のルートを滑るというよりは「見てみたい」というくらいの心づもりであったが、一度敗退したことでこの山に対する想いが強くなり、次に行くときは…と次第に考えるようになっていた。

前回仰ぎ見た東壁

そして2017年大晦日、前回敗退した時と同じメンバーで、今回は異なるアプローチからニペソツに向かった。アプローチは前回同様幌加ダムから。橋を渡って今回は尾根に取り付く。2003年に新井さんが辿ったのと同じルートだ。取付きからしばらく作業道の名残と思われる開けた箇所があり、斜度も緩いため歩きやすいスキー向きの尾根だった。

高度を上げると山頂から件のラインが見える。確かに雪はつながっているように見えるが凸凹しており、万一滑り出しで転べば崖へ転落してもおかしくない。許容できるリスクの範囲を超えているように思えた。一方、東稜を挟んで手前側に落ちるきれいな沢があり、ここは私が知る限り滑降の記録は無かった。場合によってはここでもいいかな、と考えた時点で「Bum's life」への挑戦は終わっていたかも知れない。

斜面をトラバースして山頂に向かう

主稜線に出て山頂まで標高差で200mくらいの所までシールで乗り上げた。尾根が細くなる前にスキーを担いで山頂に向かう。尾根は基本的に登りやすく、一部雪壁があるが、特に難しくはない。ここまで風はほとんどなく、空は濃紺。これほどの好コンディションもなかなか無いだろう。無事山頂に到着した。

山頂でロープを出し斜面を覗き込もうとするが、どこまでが雪庇かわからず、下を見るまで至らなかった。代わって別のメンバーが覗くが「60度近い」崖で雪も固い。おまけにその下は200mくらい岩壁なので落ちれば死ぬ(可能性が高い)。ロープを出して確認したが明らかなエントリーポイントすら見つからなかった。精神的にここを滑るだけの準備はできていなかったようだ。結局、アプローチ中に見た沢を滑ることにして往路を戻る。

山頂からスカイラインを経由し、写真右のルンゼに入るのが「Bum's life」と見られるライン

戻り際、東壁にあるもう1つのルートを覗いたが、こちらは出だしこそ急であるものの、客観的な危険が少なく、この日のコンディションでも滑れそうだった。なお、このルートはField Earthのライダーによって滑られており、つい最近もソロのスノーボーダーによって滑られている。ちょうど上の写真を撮った場所にあるのがそのドロップポイントだが、元々東壁を滑るということ自体には強いこだわりがなく、パーティの都合としてもここを滑るのは適当でなかったので、今回は見送ることにした。

板を他の3人より下部に残置した1人と別れ、1900mあたりから滑り始める。雪はパックしており、部分的にアイスバーンが見えたので、安全と思われるラインで下りる。2ピッチ目で重めなパウを楽しむが、やがてすぐ滝に行き当たった。雪に覆われているが廊下状に10mほど細く続いているため、太めの木を支点に60mロープで懸垂する。落ち口までは届かなかったので最後は1mくらいのジャンプが必要だった。滝が終わると沢は広くなり、ここで全員が合流することができた。

赤が「Bum's life」と思われるライン。オレンジは出だしがもう少し安全に見えるライン。緑は「Field Earth」のライン(写真には写っていない)。青が今回滑降したライン(別の沢に出る)。

そこからトラバースし沢を越え、あとは去年のアプローチルートを戻るだけ。最後はヘッデン下山だったが、念願のニペソツ登頂もでき完全燃焼の一日となった。凡庸なラインだが万一初滑降であれば自身の平凡な人生にちなんで「Papa's Life」と名付けたい、とか言ってみる。

正直、山頂より少し下ったところにある、大して急でもボールドでもなく、比較的安全だが創造的ではない、いわば妥協の産物である。とはいえ、懸垂下降を排して滝を直滑降で乗り切れば、つまり滑り方によってはそれなりに格好がつかなくもない。パパの人生なんてそんなもんだろうという、のが1つ。2つ目はパパの命はバムの命より重いんだぜということ。そんな理由でこの名前を選んでみた。

いずれにしてもパパだからあのラインを滑れなかったのではなく(それは単なる言い訳に過ぎない)、弱いから滑れなかったことは間違いない。あるいは、もっと雪が付くなどして条件が良いときに、滑れる時がくるかも知れない。それを誰が滑るかはさておき、私はそれをまだ望んでいる気がする。

山頂から見た十勝連峰

最後に、今回件のルートを個人的に観察した範囲でいくつか危険個所について言及したい。1つ目は山頂からのドロップポイント。ほぼ崖と言ってよく、不帰3峰C尾根の出だしくらいの斜度の下に崖があり、ミスれば生命に係わる(と私は思う)。2つ目は扇状に沢が集まったところにある崖。新井氏はここをクリフジャンプでクリアしているが、骨折を負うくらいのリスクがある箇所で、運が悪ければ自力下山が困難になることから、同じ方法は有り得ないと考える。私はそこまで行ければその場で判断しようと思っていたが、今回の山行で懸垂用ロープと支点工作用のギアを持参していた。もし新井氏がロープを持っていれば、そうしたであろうと考えるからだ。とはいえ、15年以上経過した後で、初滑降者より「良くない」スタイルでリピートすること自体に記録的な価値は無いだろう。あくまで自己満足の世界である。

初めて見たニペソツ東壁

あと99個くらいあった冬にニペソツを訪れる理由を忘れてしまった。最初に敗退した直後の2017年1月の三連休、山スキーの先生と話す機会があり、当時の行動をいくつか注意された。その時、私はニペソツに向かった理由を話していなかったが、当然彼はお見通しであったのだろう。「雪が良ければどんな急斜面でも滑れる」「100回に1回失敗するような滑降をしていては、いつか命を落とす」というのが先生の口癖で、あまり1つのことにとらわれてはいけない、というのがその趣旨であったと思う。「お前は新井に憑りつかれてるんじゃないのか」とも言っていた。あるいは、そういう解釈も成り立つのかも知れない。

私はあの山頂から滑った人がいることが、いまだによく呑み込めていない。ただ新井氏が書いた内容の具体性に私が実際に見てきたものを照らしてみても、ほとんど疑いのない事実のように思う。彼は確かにそこを滑ったらしい。いずれにしても、それはまだそこにあって、誰かに滑られるのを待っているような気がする。そう考えると、心が震えるのである。



2018年1月14日日曜日

Back number Vol 99 Mt. Sir Douglas

The well-known mountain in Kananaskis, Mt.Sir Douglas 

This story is written by Toshi

Since the regretful bail on the attempt of Mt.Ball East face, I have been contemplating what I could have done differently. Although there were various minor problems, I came up with the biggest conclusion. It was that Alpine climbing in the Rockies (Equivalent to Japanese winter climbing)was purely significantly challenging and I just don't possess the skills to meet that level of difficulties.

 Also, I realized that I have been spending most of my energy and time on Sports mix climbing since I came to the Rockies, therefore, I didn't gain much experience. In a hindsight, multiple Alpine-style attempts that I have made in the Rockies so far that didn't succeed represent my lack of skills. This taught me that I was stuck in a vicious loop. With an idea of getting out of this situation this fall, I asked Bob to try another Alpine climbing. I chose North West face of Mt. Sir Douglas (3406m) for this time.


Long time since I headed into mountains with bivy gears

Got to have a glimpse of our goal after many hours of breaking trails


Probably with good preparation and experience, making the attempt of this line as a day trip would be feasible. However, I wanted this to be training with heavy gears so we decided to make it an overnight trip.  The amount of snow was much larger than usual and this prevented us from gaining speed so we concluded choosing an overnight was the right decision to make under this condition.


Mt. Sir Douglas next morning


Next morning, we left our tent before the sunrise and the surroundings was complete darkness. As a result, of course, we got lost. After climbing up a snow slope and reaching a ledge, we realized that we were at a wrong spot. We have already gained 500m since we started. There was nothing to do but climb down and I decided to take it as a stamina and endurance training... So we came down to the almost same altitude as our tent and tried the right line. In the Rockies, everything seems to be closer but the truth is that there is always a huge distance between seeing an object and reaching there.





Passing over glacier while avoiding hidden crevasse

The white part in the picture above is a glacier. The snow piled up on the glacier creates hidden crevasses and because of this we had to move around with extra care.


Finally, after torturous training, we got to see the objective 

Having been spoiled by the Sports climbing, even an easy slope made me extremely exhausted.



 Simul-climbing on the snow wall

Speed is an essential aspect in climbing big mountains. Sometimes, prioritizing speed over risk management can be a safer option.  Moving faster in an easy section can be the key.



Widespread view of the mountains 

The weather wasn't bad but the Rockies aren't that easy even on those days. The condition on that day was extremely challenging. Since we reached the wall and started climbing, there were winds with snow blowing from all directions which almost made breathing impossible. There was Chinook on that day. In the Rockies, Chinook creates gorgeous weather with unbelievable winds especially high up in the mountains.  On nice days in the morning, after a night of full of stars over your head would be freezing cold with radiational cooling and warm daytime awaits you with strong wind often faster than 50km/h.



         Forceful smiles on the peak...      Toshi (left) and Bob (right) 

As you can tell from our face, what occupied our head at the moment was how to go down.
On our way down, the strong wind caused small avalanches here and there... Together with the crazy amount of winds we felt the excitement of the Rockies for our achievement. Avalanches were all small scales so I thought they wouldn't affect us too much, yet we took extra caution as climbing down than the ascend and try to go faster. While avoiding the attack of avalanches and traversed a path that continuous avalanche hits we finally reached a gentle terrain of a glacier.

View of  Mt.Birdwood with smoke caused by an avalanche
Anyways, we succeeded completing our mission for this time. The momentary satisfaction that I felt on the top of the mountain gradually came back from within after getting home.  This trip taught me again that you really need to go to mountains to gain alpine climbing experiences. It's not just climbing nor just be measured by the grade. There are many variable factors in Alpine climbing and in the nature that challenge us from all aspect. For me, alpine climbing is an act of getting to the peak of the mountains while conquering unmeasurable danger and unforeseeable challenges. 

With refreshed motivation, I made a goal of maintaining my climbing skills while keep on going to find and try the new big lines for the upcoming season.

             
                                                                                              Translated by Yumiko Mori


2018年1月9日火曜日

Vol.106 ACMG(カナダ山岳協会)アルパインガイドトレーニング ーアイスクライミング編ー


リンクアップ読者の皆様、明けましておめでとうございます。山田トシです。祝2018年ですね。今年も楽しく実りあるマウンテンライフを送りたいと思っていますので、どうぞ宜しくお願い致します。

私の年明けはというと、いきなり夏のアルパインガイド試験のためのアイスクライミング試験&講習に参加していました。結果は無事に通過し、ホッと一息ついています。今回はその中で学んだこと、そして全てのアイスクライマーが注意しなければならないことを、ガイド試験の一日に沿って少しだけご紹介したいと思います。写真は私の人生カナダ初アイスの一枚で、カナナスキスにあるKidd Fall(WI4)を登る谷です。
まずカナダのアルパインガイド試験を受けるにあたって大前提となるのが、アイスクライミングができることです。※具体的にはマルチピッチのWI5が自信を持って登れる技術が必要です。定番の試験コースには有名なWeeping Wallも含まれています。
ロッキーにおけるアルパインガイドの冬の仕事はアイスクライミングがほとんどです。世界中からアイスクライミングをするためにロッキーへやってきます。


アイスクライミングガイドの一日はウェザーオブザベーションから始まります。
目的のルートに合わせた地域の天気予報、今までの雪のコンディションそこから出された雪崩の情報を集めます。そしてその結果から、そのルートがコンディションに対して適当な目標であるのか、今日のコンディションに対してどのような危険が内在しているかを総合的に判断し、予定通りに行くのかプランBに変更するべきなのかを決定します。写真のような完全な雪崩地形のルートへ行く場合はこのプロセスが何よりも重要です。最近のACMGスタンダードではアイスクライミングのガイドでもアバランチギアを携行するように推奨されています。今回の試験では実際に雪崩の危険があるルートにはアバランチギアを携行したまま登りました。
※冬のロッキーにおける具体的な気象情報と雪崩の知識等に関してはメンバーの秋山と谷がこのブログ内でかなり詳しく紹介済みなので、そちらを再読して見てください。

アイスクライミングの注意点 谷
https://8linkup.blogspot.ca/2016/12/vol52.html
https://8linkup.blogspot.ca/2017/02/vol59.html

ビーコンについて 秋山
https://8linkup.blogspot.ca/2017/12/vol103.html

雪崩の危険度評価 秋山
https://8linkup.blogspot.ca/2017/10/vol96.html

写真 R&D(WI4)へ向かうボブ

駐車場に着いたら大事なのが装備確認ですね。基本的なことですが、人間なので忘れ物がないとは限りません。長いアプローチをこなした後にクランポン忘れた。。。なんてことがないように、出発前にメンバー全員で再確認します。これは夏ももちろん同じですが、装備の多いアイスクライミングでは特に重要だと思います。もし、ビーコンを持っていく場合にはこの段階で一度全員のビーコンをチェックし合いましょう。電池が切れていたり、ビーコン同士の相性が悪く反応しないこともあるかもしれません。


目標の滝が見えて来ました。この写真を見てどんな危険が想像できますか?ヒントとしては滝に日が当たっていますね。この滝は日当たり良好なロケーションに位置している訳です。そこから考えられる危険性は1.滝の落ち口の雪面から雪崩が起こる。(上が雪崩地形の場合)2.滝の左側の垂れ下がっている氷(ハンギングダガー)が崩壊して落ちてくる。3.氷が暖められて氷が緩む。その結果自分が濡れる、ロープが濡れて凍る、打ち込んだスクリューが緩むなど様々な危険性が判断できます。そういったルート上の危険性を認知し、判断することが大事です。どのようなアプローチをするべきか、どこでビレイをすべきか、どのように登るべきかなどを決定してより安全にアイスクライミングを楽しみたいですね。※危険性はルートとその日の気象条件(気温、天気、雪のコンディションなど)によって変わります。
写真 Oh Le Tabernac(WI5+)。


ようやくクライミング開始です。アイスクライミング中に一番注意しなくてはいけないのが、オーバーヘッドハザードです。リードや他のクライマーが落とした氷がビレイヤー当たって意識不明なんてこともありえます。フリークライミングのビレーと違い、たとえビレーのロープが緩むとしても離れた場所、岩陰になるところなどを選んでビレーすることが必要です。写真のビレイヤーはグッドプレイスでビレイしてますね。
写真 Cascade Kronenbourg P1(WI6)


人気のエリアでは他のパーティと一緒に登らなくてはならないことが多々あります。エリアの小さい日本ではこの可能性はもっと高いと思います。そんな時に大事なことはやはりコミュニケーションです。いくつもラインが取れる場合は写真のようにお互いに意思疎通をし同じスピードで並行して登って行けば、オーバーヘッドハザードを回避しながら同時に登ることができます。ガイドはそのような状況も上手くコミュニケーションを取り円滑に全てのクライマーを尊重しながら登ることも必要になります。
ロッキーではこの冬にこの問題を解決するために一つの安全規約が提案されました。
谷がブログにまとめてくれているので、リンクを張っておきます。

アイスクライミングの安全規約 谷

写真 Weeping Wall


ビレイ解除―。の後はフォローが登り始めます。フォローが登ってくる上でも注意すべき所があります。今回、試験中に一つの事故がありました。別パーティーのフォローが7mほど登った所でフォールし、グランドフォール。その結果足首を解放骨折し、レスキューされたというものです。ビレイは普通にされていたそうですが、写真のようにハーフロープを使っていたため、伸び率が高くグランドフォールしてしまいました。アイスクライミングでは固い氷そしてクランポンの装着によって足を骨折する可能性はかなり高くなります。フリークライミングでも同じですが、出だしのフォロービレイはタイトにするという意識を少し高く持った方がいいと思いました。
写真 Whiteman Falls(WI6)


楽しいクライミングの後は懸垂下降で取り付きに戻ります。アイスクライミングでの懸垂下降で一番良く使う技術と言えばV-thread、日本だとアバラコフですね。アバラコフ作成でもっとも大事なことは氷質が良い所で作るということです。氷は基本的に内側の方が状態が良いことが多いので、表面の氷質が悪い場合は丁寧にアックスで削り内側の良い氷質の所を自分で作ります。氷質が悪い場合はV-threadを二つ作り連結させて下降するのもいいと思います。必ず最初に懸垂するクライマーはバックアップをスクリューで取り下降することは当然ですね。前のパーティーが作成したV-threadを使用する場合は必ず丁寧にチェックして下さい。ガイド的にはV-threadのスリングがしっかりと穴を通っているのを確認できない場合は使用しないですね。もしかしたらV-threadの末端が新たな氷結によって凍っているだけの場合もあります。実際にロッキーではそのような事故が過去にあったと聞きました。一つの失敗が大事故につながる懸垂下降は丁寧にやりましょう。
他の危険性で言えば、凍ったロープでの懸垂下降はロープのスタックやフリクションが利きづらくなるということもあるので、注意が必要です。
写真 Whiteman Falls

夏のアルパインガイド試験を乗り越え、来冬には多くの人にロッキーのアイスクライミングを紹介できるように、精進していきたいと思っています。


今回の試験で行ったルートを調べていたら自分が三年前に登っている動画を偶然見つけました。へたくそですが、友人がユーチューブに挙げてくれていたので、添付します。
「Nothing but the Breast」by Tylor R Davidson。

2018年1月2日火曜日

Vol.105 BCシーズンイン 放山

2018あけましておめでとうございます。
今年もLink∞Upをよろしくお願いします。



新しい年の最初の投稿は、富山から劔村が担当します。
2017年12月の日本は各地で大雪に見舞われスキー場は例年になく早いオープンとなっておりました。私も初滑りは済ませていたもののバックカントリーはまだでした。

今回の話の舞台は、新潟県糸魚川市能生にあるシャルマン火打スキー場近辺です。
そこでの熱い集いが毎年恒例の行事になりつつあります。

放山1189mの麓にあるスキー場で海から近いものの新潟特有の豪雪地帯、朝一のリフト乗り場にはノートラック狙いのスキーヤー、ボーダー、スノースクーターが群がります。
年末の爆弾低気圧による雪はそこまで多くなかったもののこの時期にしてはリフトトップで2mオーバーの積雪は心踊らされます。

足慣らしでゲレンデパウダーを一本だけ流しアルパインスキー2名、私テレマーク1名で放山バックカントリーに向かいました。天候は曇り、しっかりしまった雪の上にうっすらと新雪が乗っているのでラッセルもなく快適な山行になる。


 天気が悪いからなのか、年の瀬だからなのか賑わうスキー場の喧騒から離れ裏山へ向かうと、まだ誰も踏み入っていない我々だけの世界となっていた。
静けさの中、シーズン初めの重い体を慣らすように登っていく。ゲレンデトップからは40分ほどで頂上に着く適度な運動量なので、のんびり霧氷に覆われたブナ林を眺めシーズンインの山歩きを楽しむことができた。
 視界が開けると麓には荒々しい日本海を望むことができる。

登行ルートではなく別尾根を下り、ノートラックパラダイスにヒャホーヒャホー吠えながらの滑走となった。
アップダウン、地形変化の多い山では機動力がものを言いますが、今回の場合はテレマークやTLTが軽快でよかったかもしれません。
ボーターの場合は登り返しが伴うと苦戦がしいられます。

素晴らしいバックカントリーのスタートを共にした仲間に感謝しつつ
新しい年の初めとして皆様が怪我なく山を楽しめるよう祈りながら年初めの投稿とさせてもらいます。

正月は食って飲んでダラダラしています。