チーム「Link∞UP」は日本と北米の‘愉快で有益な’「マウンテンライフ」情報を日本と英語圏において共有をすること。 その生活を‘一生懸命楽しんでいる人達’のコネクション強化を図ることを目的に活動しています。 日本や北米でのマウンテンライフについて情報の欲しい方や私達に興味のある方はお気軽にご連絡下さい。

2018年10月31日水曜日

Vol.147 秋の里山

こんにちは、富山県から劔村がお送りします。

先日はリンクアップのメンバーと名古屋にてそれぞれの自然との関わり方を話す場をいただき、参加してくれた方や協力してくれた方たちのおかげ様でとてもいい会になりました。
この場を借りて御礼申し上げます。詳細についてはToshi君から紹介があるということです。

さて今回は秋の日本、10月下旬ともなると街にも紅葉が降りてきて立山連峰から降雪の知らせが届いています。
先日の名古屋でのスライドショーの翌日に東海エリアの愉快な仲間たちと瑞浪へクライミングへ行ってきました。
今年は農業を職として一年目、なかなか時間を作って遊びに出かけることができなかったこともあり運動不足をしていたのですが久しぶりに触れる岩、ワイワイと大勢でクライミングができて充実した名古屋旅になりました。
瑞浪のクライミングエリア、里山に巨岩が点在している。昔、石切場だったということで爆薬によるクラックが入った花崗岩があります。

原住民(5.10bc)バランシィーでなかなか楽しめるルートです。


名古屋からは1時間ほどで行けるエリアなので便利ですね、問題は10月で日差しがある日は南向きの岩に取り付くと汗だくになってしまうということですね。

さてもうひとつ、オススメの場所を見つけました。
月に一回、農業研修で山梨に行っています。富山県から南下し安房峠を越えて甲州街道を通り山梨に抜けるルートは毎回変わらないのですが 、紅葉の今の時期は中央アルプスや周辺の紅葉など目を楽しませる景色が多くよそ見をしながらのドライブになります。

今回は少し時間に余裕があったので以前から気になっていた昇仙峡という景勝地に行ってきました。平日にも関わらず多くの観光客であふれています。

名前からして渓谷なので川を見ようと思って行ったのですが、花崗岩の岩塔や岩壁が点在していて素晴らしい景観でした。調べてみるとクライミングのエリアもあるようで晴天率の高い山梨県では乾いた岩を楽しめるのでしょう。



紅葉が終わると一気に冬の便りが届きます、体調管理に気をつけて来たる冬を楽しみましょう。

2018年10月22日月曜日

Vol.146 秋を求めて

どうもボブです。
今年のロッキーは秋を飛び越し冬入りした説がありました。
9月になった途端冷え込みが強まり、天気も不安定で山は冬の様相。
10月頭には街中で10-30cmの積雪もあり、見渡す山々には氷も垂れ始め
早速アイスクライミングにスキーにと行ってまいりました。

滑る為には修行が必要です。

そんな中普段は凍らない場所が凍りかけている!これはチャンスだと意気込んでましたが
このところの陽気で溶けてしまってるじゃないですか。。少し意気消沈してましたが
嫌でも冬は来るんだし、気を取り直して秋を楽しもうと言うことで、この休日は冬の間お世話になった友人を訪ね、Revelstoke へ行ってきました。

冬はskiで有名ですが、やはり下り好き夏も下りたいのかMountain bikeも盛ん。
この時期のRevelstoke は冬の賑わいは無いものの、秋も素晴らしい場所でした。
(ちなみに、夏は虫で賑わうそうです。笑)

着いた初日はBike
昼過ぎに到着し、友人の案内の元、Bolder Mountainという場所へ。
初心者から上級者まで楽しめるコースが設定されており、初心者でも楽しめるコースを案内して貰いました。不思議な事にかなり整備されたコースで、聞くとTrail Builderという専門の方々がコースを作っているとの事。ボランティアもありますが、Trail Buildingという仕事があり、コース整備にあたっているそうです。
・Trail Buildingとは、、Day in the life of a Trail Builder(動画リンク)

この小さな町でもコースの数は163本、計290kmものコースがあります。
trailforks.com(各地のコース情報について)

基本的に登りは林道を登るので快適、下りは下り専用のコースなので下に人がいる心配も無く走りに集中できて、かつコースが楽しい!登っては下り、登っては下り、3ラップするといい時間になったので終わりました。

二日目はクライミング
 この日はクライミング初めて友人を含めてクライミング。Big mountain skierで、あり得ない場所を滑り、飛びまくっている友人ですが、実は高所恐怖症!笑
オフシーズンのトレーニングにもクライミングはやってみたいんだよね~!との事だったので、やっぱり最初は気持ちの良いマルチでしょう!と、向かったのは≪Pirates of the Underworld 5.10b,3P≫ というルート。湖岸の壁をラッペルして取り付き、3ピッチ登るという内容。とにかくロケーションが最高だから楽しい事間違いなし!と半ば強引に連れて行きました。

聞くとラッペルも初めてだそうで、まずはラッペルの仕方からレクチャー。
ラッペルしたら登って帰らないと行けないプレッシャーがあるので慎重に登るラインを確認しながら初心者でも行けるかどうかを確認しながら降りていきます。
ラッペルにも慣れて来た頃無事に湖面から少し上に作られた木製の足場に到着し、クライミングは始まります。ラッペルの緊張と高度間から解放された友人に笑顔が戻ります。
さぁて1P目、ん?何か悪い、欠けそう、、そんな印象を受けつつアンカーへ。友人は奮闘しつつも無事にアンカーへ到着。
2P目、出だしから気持ち悪いトラバースからのコーナーをステミングを交えて登る。大丈夫かな、、と不安でしたがかなり奮闘しつつアンカーに到着。予想より大分時間がかかり、すぐに終わると思っていた為行動食も無くお腹が空いた友人は少し苛立っています。笑
ガイドブック的にも、見た目的にも次のピッチは快適そうだったので、「次は快適なんで安心して下さいね。笑」となだめ、最後のピッチを急ぎます。
出だしから階段状で快適快適、大きなリッジがあり残り5m程。しかしその5mが悪い。
無事に終了点に到着し、セカンドビレー。レッジまではぶつぶついいつつもスムーズに到着。さぁ最後の5m。出だしのホールドが遠く、疲れもあり、いいとこに届かない。友人のフラストレーションも最高潮!笑 お助け紐を使って登り、残り1m。アンダーのホールドを使い、体を上げ、最後のマントルを返して無事に終了点へ。

登り終えた友人の感想「やっぱりクライミングはいいかな。」
お付き合い頂きありがとうございました。笑


部分的に岩が脆く、内容的にもいいルートとは言えませんが、ロケーションはとにかく最高で、それもあってか割と近くのレッジではカップルが発情していました。笑

佐々木家の皆さん、2日間ありがとうございました。
また冬に遊びましょう!

以上、ボブでした。





2018年10月15日月曜日

Vol145. カナディアンロッキーでバックパッキング ~日本との違い

こんにちは、今回のブログは日本満喫中の秋山が担当します。

お題は”バックパッキング”

衣・食・住を背負うバックパッキング
リンクアップのメンバーはクライミングが多いのでクライミング寄りの記事が多いので、たまにはクライミング以外の登山スタイルのお話を。

バックパッキング。そうですテントを持って山をA地点からB地点まで縦走するあれですね。寝床、食料、火器、着替えなど、衣・食・住すべてを持って山に入るスタイルはシンプルでありながら、達成感は半端ないものであります。

バックパッキング完歩後の皆様の笑顔
溢れ出る達成感
日本でテン泊されている方も多いかと思いますが、カナディアンロッキーでのバックパッキングは少しスタイルが日本と違いますので、その違いに焦点を当てつつ、ロッキースタイルを紹介したいと思います。

カナディアンロッキーと日本との違い

1. 稜線上にルートは殆どついていない
→ 日本の登山ルートは頂上をつなぎながら縦走路が整備されていていることが多いですが、カナダの場合は山が険しすぎるのでそのようなルートはありません、その代り高い山を見ながら、稜線の一番低い場所(コル、鞍部、パス)を抜けて次のエリアに行く、というようなルートが整備されています。なんか谷底の暗い場所を歩くの?ってイメージがあっちゃうかもしれませんがご安心を! 谷が広く、森林限界も低いので、開放感のある景色の中を歩くことができます。

谷底を詰めて、目指すのは稜線上の低い部分であるコル
わざわざ稜線上は歩きません
これが谷底です。
開放感!

2. バックパッカー以外がいない
→ 多くのコースはバックパッキング用に整備されています。また小屋などがないのでテントを持って行くしかないという場所がほとんどです。つまり周りにいるのもバックパッカーのみということになります。日本の場合、小屋に泊まるかテン場に泊まるかという違いがあっても、歩くコースは同じ場合が多いですよね。もちろん北海道の日高とか知床とか小屋がないスタイルもあるとは思いますが、ここでは一般的な話としてお読みくださいね。

見渡す限り我々だけ

3. テント場は谷底、テーブル付き
→ 稜線上にテン場があることは殆どありません。これは悪天候時に困る(周りに小屋がなく避難ができないので)、水がとれない、というのが主な理由かと思います。なので、毎日山の上の方まで登り、テン場に向かって降る。この行程を繰り返すことになりますね。
テン場にはテーブルが整備されているので、料理なんかはここですることになります。

テーブルがあると便利です

4. 水は豊富
→ テン場が谷底にある分水は豊富に取れます。野生動物が多いのでそのまま飲むのは若干危険なので、浄水器もしくは煮沸で使用するのですが、水量は豊富で困ることはありません。暑い日に水浴びもできますしね

テン場すぐ近くを流れる川
水浴びもOK!

5. 事前予約が必要
→ 管理をするのは国立公園、州立公園なので事前に予約をして費用を払う必要があります。日本のように横に山小屋があるわけではないので、事前の準備が必須となります。

各サイトのリンク集
国立公園の予約サイト
ブリティッシュコロンビア州立公園の予約サイト
アルバータ州の予約サイト

6. クマ対策は必須
→ カナダも日本もそうですがクマがどこにでもいる可能性があります。そのクマを自然のままの姿でいてもらう、キャンプ場によりつかないようにする、そしてキャンパーの安全のために、テントの中に食材は置いてはいけません。これはマナーの一部でもあるので、キャンパーは守らないといけませんね。ではどうするか? 荷物吊り下げ用のワイヤ、その名も”ベアハンガー”を使用します。
毎日夜ごはん後、ご飯はもちろん化粧水、日焼け止めなど臭をするものを全てまとめて吊り下げる必要があります。引っ掛けるカラビナ、雨の日用にドライスタッフサックがあると便利ですね。

食材はもちろん、匂いがあるものは全てまとめて気に吊るしておく

先日は、個人的に9歳の娘と60kmぐらいのトレイルを4泊5日で歩いてきました。
場所を選べば子供と行けるコースもあり、老若男女楽しめることができる、それがカナディアンロッキーのバックパッキングなのです! 是非挑戦してください。

今年一番の思い出
娘とバックパッキング!

2018年10月9日火曜日

Vol.144 アプローチの道具

こんにちは星野です。
夏も終わり秋。そして大雪山は初冠雪。もう冬の気配がしています。季節の移り変わりは早いものです。

僕はこの夏、新しい乗り物を覚えることが出来ました。

こちらはAllyという折り畳み式のカナディアンカヌーです。
重さは約20kg、最大積載量380kg。
折り畳み式なのでルーフキャリアが無い車でも積むことが出来るし、背負って持って行く事も出来ます。最大積載量も380kgとほぼ何でも積むことが出来ますね。
値段は結構高いです。ちなみにこれは借り物で自分の持ち物ではありません。

新しい乗り物を覚えると何が良いのか?それはやっぱり山へのアプローチですね。
皆さんそれぞれ山に行く時にはアプローチの事を考えると思います。登山口やクライミングルートの取り付きまでどうやって行くか?ってやつです。電車や車もアプローチだと僕は思いますので、必ず皆さん考えているはずです。

雪の上ならば、スキーやスノーシュー、またはスノーモービルetc。。滑らないけどアプローチはスキーでというシチュエーションもある訳です。雪原の水平移動にもスキーは有効ですね。雪の無い林道は自転車やバイク、雪と雪の間のトンネルなどは、キックボードやスケボー使ってる話も聞きますね。今の時代折り畳み式の自転車があるので、簡単に車に積んで持って行けるのでとても便利ですが、荷物が重いとケツが痛くなりますので、サドルを考えた方がいいかもです。その他にも、山の奥深くに入るのであればヘリやセスナ、ヤクに荷物運ばせたり、ひと昔前ならば、馬に乗ってなんて記録も良く見かけますよね。結局最後は全部背負って歩くしかないわけですから、いかに楽にいかに早く目的の山に近づくか!この事を考えるのって結構重要だと思います。但しエリアによって使って良いものダメなものがあるので注意が必要です。

学校へのアプローチはやっぱりこれ!?
歩いた方が早いと思います。

そんな話はさておき、今夏、僕はカナディアンカヌーに乗れるようになった事でまた新しい世界が開けたと思っています。日本では湖を渡ってアプローチするシチュエーションはあまり無いと思いますが、シーカヤックで海岸沿いの岩場にアプローチしている人はいます。また、海外ではカヌーに乗れる事で湖を渡り行きたい場所へ楽に早く、そして楽しく行けるなんて事は結構あるはず!またそんな記録もありますね。




今年行った然別湖、チミケップ湖、屈斜路湖です。朝一の鏡の様な湖面。岸辺の木が湖面に映りとても綺麗でした。アプローチの道具としてでは無く、純粋にカヌーもいいなと思いました。ただ僕はまだ漕ぐのが下手くそなのか、テントから歩いて5分で行ける温泉にカヌーでアプローチしたところ、20分位かかりました。。。。風があったせいだと思っていますが、もうちょっと練習も必要そうです。

2018年10月8日月曜日

Back Number Vol. 142 Family friendly traveling spots for an outdoor man/women

This story was written by Kazuki Kaneiwa      Translated by Yumiko Mori

Time really flies and my turn to contribute an article just came. To be honest, I would love to write about the climbing endeavours but sadly I injured my fingers lately. As a result I was forced to take a break from climbing this past month. While waiting for a recovery, I decided to take my family for a vacation. 



Signiture unique formation of rocks at Hotokegaura  


My main goal for this trip is visit my parent's place-Otaru city, Hokkaido where used to thrive as an entrance harbour city. However it's been experienceing declining population and higher rate of aging. As many rural cities have in common, some youth chose to stay and some chose not. I was definitely the latter. Maybe I was afraid of being part of decay and became oblivious. Also I have been always wanting to see the world and held the belief that there should be somewhere (perfect place for me) in the world... 
Sunset at Tsugarukaikyo

Aside from that sentimental feelings I added another purpose as a family trip. So we decided to make a round trip between Otaru and Rishiri. Initially my plan was flying into the Shin-Chitose airport but it was costly and we couldn't get to take our car with us. So we ended up choosing the ferry that runs between Ooma (Shimo-kita-han-tou) and Hakodate.
On my way back I chose another ferry route between Otaru and Niigata. It would roughly still take 2000km drive so I managed to get 10 days off my work.
  


Koiwai Farm Horse Train

"As we rush through our trip it will lose its essential part" I couldn't agree more.  In this way I supoese the best trip can be only achieved by using our feet... Then maybe "walking across Japan" Or "completing the best 100 mountains in Japan without using transportation" would be the best way to travel. When it comes to having the best memory while travelling"Slower is better" So instead of viewing transportation as a mean seeing it as part of purpose. The trip would be unforgetable experience. 







With this equation for the fun travel in mind,I'd always get confused to be asked how my flight was because by choosing flying I am choosing the fastest method over other joy that travel brought with... To be polite I would just say only one appropriate answer...Yes It was good...

Nebuta's house  Wa・Rasse 

Aside from how the method and speed affect your experience of your trip, My goals of this trip are making family memory and successfully meeting everyone's requests.

Balancing family life and my mountain careeer are always my biggest focus.


"Hayabusa" in the process of combing 



Hachiman Marsh

Since I have never been Iwate and Aomori, I have reserached a couple of popular mountains in the region. Hachimandaira is one of the easy hike route and little elevation gain so I managed to take my child with me for a quick afternoon hike. I was able to use a stroller all the way and it was about an hour so definitely a good place to visit for a family with a small kid.


Massive forrest at Hachimandaira

Even during the short walk the beauty of the wetland was outstanding. I remembered someone wrote that this kind of terrain is ideal for skiing. Personally I feel this might be boring as the hill doesn't seem to be steep enough to make exciting routes. However depending on how you picture the scene it might show you another face. For example, if you come here before they plow snow, this land became massive primitive looking land so it will have its unique character.


Curious kid at a hotel 

Aomori Ken by Michi Nara


Wetland at Mt.Hakkouda

Mt. Hakkouda seemed to be a little long route to go with a baby. So I decided to make a quick solo hike. Starting from Sangayu making a loop around the mountain for about 2 hours. Early morning wetland was surprisingly pleasant and beautiful. I wrote down this place in my mind re-visit section. Although as much as I wanted to try Mt. Iwate and Mt. Iwaki, I decided to visit them during the winter time for another fun to ski down.


Gorgeous sunny day at Osoreyama 

After the refreshing morning hike and going back to the town it was still in the morning. 

On my whim I checked out the Harimine at Hotokegaura with a hope of it might be still climbable condition. Ended up realizing the condition was far from climbable and it was just very loose and fragile. 

Appear to be climbable?? Uniuqe rock formation at Hotokegaura

To sum up my trip I indulged myself with an amazing rice bowl topped with tuna and sea urchin at a restaurant near my hotel. Overall my first visit to Shimokita Hantou ended up as a successful trip. Next time I would like to throw some rock climbing at Nuidouishiyama as part of itenerary.  


Tuna and seaurchin 

Thank you for reading!!

2018年10月2日火曜日

Vol .143 山について僕が思うこと、(クライミングギアとそれに付随する知識、技術 編)

ご無沙汰してます。谷です。
夏のシーズンも終わり、これから秋のクライミングシーズンですね。カナダはもう冬の様相ですが(涙)さてクライミングシーズンということで今回はクライミングギアの強度に対して、僕たちクライマーがどのような技術使った方がいいのか掘り下げてみたいと思います。色々調べてみると面白いですよね、クライミングは理論的にも。インドアなら基本理解しなくていいものも、外に行く場合、特マルチピッチ以上の登山をする場合、こういう知識はしっかり勉強しておいた方が損はないです。まあわからない場合はぜひ僕に講習頼んでいただいてもいいですよ!


クライミングのカラビナやスリングはなぜ22〜24KNなのか?これは人間の骨盤が破壊されるのが11KNだと言われているので(第1次世界大戦で空挺部隊のハーネスを作成するときに出た指標、ちなみに1KNは大体100kgと考えましょう。厳密には違いますが。)
その2倍の強度を目指しているというところです。なのでどのクライミングギアもマージンを取って22KN前後です。わかりやすいですよね。
ではなぜ2倍か?墜落した場合、支点には2倍の荷重がかかるためですね。
これはみなさんわかりますよね。リードビレイというのはカウンターバランスを使ってるので、
落ちた場合、ビレイヤーの体重も支点にかかるわけです。
そうすると、クライマーに骨盤が折れるほどの荷重(11KN)がかかった場合、ビレイヤー及びロープなど反対側のシステム全てに11KNかかってクライマーの衝撃荷重を止めることになるので、クイックドローなどの支点には22KNかかるわけですね。ランナーが全て吹っ飛んだ場合、アンカーにこの衝撃がかかる可能性がある。なのでアンカーも22KN。
ちなみにこの考え方は、テンションする時も役に立ちます。普通にダメなプロテクション、特にアイスなど
スクリューが良くない場合はフィフィなどでぶら下がった方が、自分の体重のみが支点にかかりますが、テンションしてしまうとビレイヤーの体重もかかることになるので支点が吹っ飛ぶ可能性が高くなります。
なのでアルパインやアイスなどは自分でカラビナやフックを使ってぶら下がるのが賢明ですね。




図で見るとわかりやすい。
リードビレイのシステムでは単純に60kgの人を止めようと思うと60kgの何かが必要なんですね。
ロープやカラビナの摩擦があるので吸収されてビレイヤーにかかる荷重は軽減されるのですが、支点にはクライマーの衝撃の約2倍かかると考えてくれればわかりやすいです。(ちなみに日本だとプリー効果という名前で支点にはで1.7倍かかるはず)

カラビナに数字があるのご存知?この写真でいうと横向き25KN、縦向き10KN
ゲート開き7KN。これ見てわかるようにカラビナの向きにも注意が必要。
なのでトップロープなどの常時チェックできない、向きを直せない場合はカラビナ二個。
そして向きを治せる手に届くところにある場合、ビレイループなど安全環一個で僕たちビレイしてるわけです。
いつでもロックカラビナ二個というわけではないですよね。ちゃんと理由があるのです。

あとアンカーにいっぱいカムとか使う人いますが、経験則だけでなく、この22KNという数字を目指して作ってるんですね。C4の大きなカムなら14KNありますが、小さなカムになれば8KNと強度は落ちます。
またナッツにもちゃんと書いてあるのでその数字を元にアンカーを作成しましょう。
つまり、ちゃんとセットできた場合、大きなカムはいい!!小さなカムは、もう一個またはナッツやハーケンも必要ってことになるわけです。
ちなみにアイススクリューはいい氷の場合一本約10KNです。
氷の質、日射などによっても変わるので、アンカーには3本オススメします。


ルベルソーなどで支点ビレイする場合はカウンターバランスを使いませんので、より小さな荷重しかかかりません。これはすごくいいことですね。支点に優しいわけです。
これは技術によって支点にかかる荷重が減らせるいい例です。
あと、カナダのガイド業界ではリードのビレイも支点ビレイに切り替わってます。
ビックフォールが予想される場合。ムンターで支点ビレイした方が、ビレイヤーへの衝撃がない上、ブレーキハンドを離す確率が少ない、つまりガイドが死なないということですね。

またカナダ山岳ガイド協会では、アンカーは20〜25KNのものを作ることを徹底してます。
理由は上記の通りですね。それ以上のものを作っても人間の骨盤が折れて内臓が潰れ死んじゃうのでカムが六個やボルトが4つのアンカーなんていらないということです。時間の無駄ですね。

ちゃんとした数字を目指せば、感覚ではなく、安全なプロテンクションやアンカーを作ることができます。
しかもギアも減らせて軽い荷物で登頂なんてことにもなるわけです。
プロテクションの数字を見てちゃんとした理由でアンカーを構築できればいうことないですよね。



さて次はスリングやシュリンゲ(こっちだとコードレット)に行きましょう。
ペツルのページを使わせていただきました。
これで見ると日本語でいうと左から6.5mmシュリンゲ、ナイロンスリング、ダイニーマ、ケブラーになります。
ケミカルとかお値段とか省きます。
最初の図で重要なのは伸び率。
ダイニーマとケブラーは全く伸びません。なのでこれで少しでも落ちた場合、非常に危険です。これでセルフとって数十センチ落ちた場合、骨折るかアンカーが崩壊する可能性ありです。
フォールファクター(墜落係数)については今回は触れませんが、伸びないギアを使うことで危険度が高まるシチュエーションがあると考えましょう。
ちなみにナイロンスリングは伸びるんで衝撃荷重がかかった場合強いですね。
勿論シュリンゲはロープと一緒ですので伸縮性が高く、衝撃を吸収してくれます。
僕たちはセルフをロープでとるのはギアを少なくできるからもありますが、最悪のケースの時、
アンカーへの衝撃を減らすためにロープにクローブヒッチでセルフとってるんですね。
なので、どうしてもロープ以外でセルフとりたいという場合ダイニーマより、コネクトアジャストなどいいということです。
さて次に進みます。


この項目で重要なのは熱、そしてエッジ(岩角)に強いかどうかですね。
クライミングで考えられる熱は勿論、摩擦熱。プルージック、クレイムハイストなどフリクションヒッチを
使う場合、レスキューや懸垂のバックアップなど、ダイニーマがいかにダメか出てます。
147度で溶け出すので非常に危険です。
自己脱出の時も使うのは気をつけましょう。プルージックが滑った場合、溶ける可能性がかなりあるということです。
あとエッジですね。落石や岩角に擦れて切れる可能性はシュリンゲはすごい弱いです。ナイロンスリングも弱いですね。パンパンに荷重をかけた状態で懸垂の支点にぶら下がってる時など、上から鋭利な石が落ちてきたら一瞬で切れて、はいさよならです。
じゃあさっき言ってたダイニーマは伸びないからダメって言ってたじゃんって話ですが、ルートによって変わるわけです。例えばアイスクライミングのルートで落石がないとかならシュリンゲがよく、落石が多そうなラペルならダイニーマがいいということになります。重要なのはどのギアがいいというわけでなく、強度や用途を理解して状況に応じたものを選択する、これすなわち技術ですよね。今日のテーマです。

なのでダイニーマは伸びない、カットに強い、そして熱に弱い。
ナイロンスリングは少し伸びる、カットに弱い、熱にはまあまあ強い。
シュリンゲは伸びる、カットにめっちゃ弱い、熱にまあまあ強い。
ケブラーは全く伸びない、カットに強い、熱にも強い。
という結果。

ビジュアルで見たい人はこちらをクリック⇩
DMMのスリングテスト動画

あとスリング類についてもう一つ。
ノット(結び)を作ることによって最低でも30%の強度が減少します。ひどいものは50%。
なので固定分散を作る時どれくらいの強度が失われるか考えておきましょう。
せっかくカムやボルトで20KN以上のものを作ってもスリング類のノットの作り方で
弱いアンカーになってしまう可能性があるからです。

ちなみにガイドはこれらのこと全て考えて、技術を投入してるんですよ。
試験でもこういう理論が常に質問されます。なんでここダイニーマ使ったのって?なんでここにノット作ったのって?なのでガイドはクライミングの上手い人がなるのではなく、クライミングの安全理論がしっかりしてる人がなるんですね。僕たちはロープ職人。

ガイドについてはこちらをクリック⇩
山について僕が思うこと、山岳ガイド編

さてこれで今回は最後、経年劣化。こっちでいうライフタイムです。
以下メーカーに表示されていたものを載せておきます。
こういうことを知っておけば、その場にあったギアやスリングを使い
その場にあった結び方やビレイの方法を使い、安全かつ、楽しく登ることができるわけですね。

耐用年数
この製品の耐用年数は、主に使用の頻 度や状況、その他の外的要素に影響さ れます。
合 成 繊 維 ( ポ リ ア ミド 、 ポ リ エ ス テ ル 、 ダイニーマ)製の製品は、たとえ未使 用でも経年劣化は避けられません。 経 年劣化は、紫外線やその他の環境要因 によって起こります。

最長耐用年数:
未使用かつ適切な状態で保管された場 合(「保管」の箇所を参照)10 年
使用頻度が低い場合:
使用頻度が低く、また保管や使用方法 が正しく、目立った消耗箇所が無い場合 6年
使用頻度が高い、または過酷な状況
で使用する場合:
墜落(落下率< 1)回数が多い場合、 懸垂下降やトップロープでよく使う場合、 砂などの粒子が入った場合、磨耗が激 しい場合(岩角との接触等)は、ロー プが著しく消耗し、寿命を数週間程度に 短くしてしまう場合があります。

さてこれで今回の考察は終わりです。
まだまだ網羅したりませんね、マニアックな課題ですから。
しかしこれで怖いのがC4ウルトラライト買ったのはいいけど、中のワイヤーがダイニーマになって軽量化されてるんで10年しか使えんってことやん。あんなに高かったのに。となるわけです。

オチがついたところでまた次回。


2018年10月1日月曜日

Back number Vol. 132 Climbing Trip in Japan

This story was written by Bob.
Translated by Yumiko Mori

Recently I got a chance to go back to Japan and spent a month.

Not being in Japan during the last three summers made me to be oblivious of how humid and hot it is during this season... Yet I am already in Japan and decided to get the most out of this opportunity...So I tried to squeeze climbing time in between and catching up with friends and indulging myself with Japanese food.

Aichi Pref Toyota city Hourai
Type ::Tuff
Access:https://www.climbing-net.com/iwaba_detail/%E9%B3%B3%E6%9D%A5/
Can be very busy during the weekedns but on weekdays you might be the only one in this area.
Avoid sunnyside but some routes in the shades provide you comfortable climbing.
I will talk about one of the signature routes called "THC" of this area at another time.

Gifu Pref Ena city Mt. Kasagi
Type:Tuff
Access:https://www.climbing-net.com/iwaba_detail/%E7%AC%A0%E7%BD%AE%E5%B1%B1/
This area also consists of tuff but also has a little hint of granite. Personally I like this area and various holds on the routes challenge you with unique moves to complete the projects.
This place was close to my place before I left Japan so all the memories came back and quite enjoyed my progress and time of reflection.
This area is higher in altitude than other climbing areas so gives you nice soothing breeze.


Yamaguchi Pref  Kameyama South
Type:Similar to Granite
Access:https://www.climbing-net.com/iwaba_detail/%E9%99%B6%E3%83%B6%E5%B2%B3/
The climbing area arround Tougatake is well known among the locals for many years. This area offered about 50 routes which was surprisingly large number in consideration of its small size.  However after the incidents of someone created holds along the most existing routes, it lost popularity.

This time my friend took me to the lead route in the southmost area of the Kameyama.

Technically this area is known for winter rock climbing so you can definitely enjoy slippery, humid and sweaty climing in the morning like I did. But luckily we were able to  continue to climb in the shades in the afternoon with much more better conditions.

Somehow this area reminded me of Kasagi (Gifu Pre) See the info above and became one of my favorite areas.
Near this place there are bouldering areas established by popular Japanese climber like Kazumasa Yoshida so it definitely worths to check out. On my way home we made a trip to the nearby hotsprings and 300g Steak.




Hokkaido Niseko 

Although we really wanted to go climbing, it was continuouslly raining all the time.
So we decided to visit the local families private climbing garage. To be honest, even though it was just for the family use but the quality was exceptional!!!!

Gozenmae Saitama
Type:Limestones
Access(#32):http://www.asahi-net.or.jp/~ca7s-kbys/area2/okumusashi1.html

It's the same type of the rocks as the Rockies in Canada but the unique formation of the rocks allowed us to enjoy diffrent kind of holds. This area is also for the winter rock climbing but depends on the area and weather we can still get to enjoy.
Note: This area has been closed for 30 years and recently reopened so please make sure to follow the rules below.
①Registration form(500yen、Need to fill out the years of experience and max grade)
②Don't forget to purchase 500yen drink as a way to pay parking fee

Yamanashi Pref   Mizugaki   Kamesari Creek
Type:Granite
Access:https://www.climbing-net.com/iwaba_detail/%E7%91%9E%E7%89%86%E5%B1%B1/

Even though all the drinking and eating while meeting up with my old friends made my body feel as heavy as an iron, but the quality time spent with friends definitely worth the feeling.


Main purpose of the visit to Japan for this time wasn't for the climbing but ended up getting to visit new or old places and tried various routes in Japan. Overall it was full of climbing during my stay.

2016 Mt.Waddington
   Enjoy Summer!!