チーム「Link∞UP」は日本と北米の‘愉快で有益な’「マウンテンライフ」情報を日本と英語圏において共有をすること。 その生活を‘一生懸命楽しんでいる人達’のコネクション強化を図ることを目的に活動しています。 日本や北米でのマウンテンライフについて情報の欲しい方や私達に興味のある方はお気軽にご連絡下さい。

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2017年5月9日火曜日

Vol.71 未登の壁「マウントボール東壁」

 こんにちは。山田トシです。ロッキーもすっかり春になり晴れた日中はTシャツで行動できる季節になりました。最近はもっぱらフリークライミングに明け暮れていますが、今回の記事は今季ウィンタークライミングの目標そして我らがチームリンクアップの私、谷そして日本から駆け付けた星野の三人で挑んだマウントボール東壁の挑戦についてまとめと反省を込めて書いていきたいと思います。
いきなり雪崩の写真で脅かしてしまい申し訳ありませんが、この壁が標高差1000mを超える未登のマウントボール東壁です。
 結論から言うと今回の挑戦は完敗でした。今季のロッキーは雪の量が例年に比べてとても多く雪崩の危険が非常に高かったです。私達が敗退を決断した直前にこの雪崩に直面しました。
 この写真は昨年谷と二人で行った試登時のものです。前回は全く真逆のコンディションで雪は少なく暑すぎたのでほぼ氷が溶けてしまっている状況で敗退しました。谷が登っているこの氷も実はほとんど雪の塊と化していました。
 これが昨年撮ったマウントボール東壁になります。ほとんど雪もなく雪崩の危険も少ないように感じました。ただ、氷の条件が悪すぎました。
 昨年の経験からこの壁は外的危険がとても大きく今季チャレンジできるかはコンディション次第だと言うことは分かっていたので2月末にメンバーの谷そしてボブ菊池と共に偵察に出かけました。昨年に比べて氷の条件が良く、1本の氷を初登することができ名前を谷が食べていたスナックの味にちなんで「WASABI」と名付けました
(詳細は http://gripped.com/news/wasabi-new-steep-wi5-ice-route-rockies/)。
写真はWASABI2ピッチ目を登る私です。春の挑戦に備えてテントやクライミングギアを木の上に吊るし、下山しました。
 3月に入り星野も無事にロッキーへ到着し、本番に備えてできる限りトレーニングを重ねました。星野は北海道で鍛えた腕をロッキーで振るいまくっていました。北海道で登ってればロッキーでも通用する!!と豪語していました。
 スキーを履いていよいよ入山。荷物をデポしたにも関わらず荷物が前回より多いのは食事を豪華にしすぎたせいでした。私はこの入山前に酷い風邪を引いてしまい数日入山を延期させてしまいました。体調管理も今回の反省の一つになってしまいました。
 翌日気合十分でBCを出発する谷。午前中は日が燦々と当たる壁なので敢えて午後から取り付くことに。
 今回のバックアッププランであった北壁側です。東壁は日が当たりコンディションが掴みにくいため日の当らない北面も視野に入れての挑戦でした。
 写真中央の顕著なガリー(溝状)から登り始めます。昨年のラインとは違う(上部には顕著なセラックや雪壁がないので東壁では一番安全だと考えられる)ラインを攻める予定でした。
 今回唯一のクライミングとなった1ピッチ目をフォローする星野。この時北壁側ではセラックの崩壊が原因と思われる巨大な雪崩が起きていました。
 次第に強くなるチリ雪崩から身を隠す谷。日もすっかり陰り落ち着くだろうと思われた壁から起きるチリ雪崩。ラインは溝状なので上から発生したものが集まってくる。なぜ起きるのか?原因が上部で吹いているであろう風しかないが、それほど風は強く感じない。いつ巨大な雪崩が襲ってくるかもしれないという恐怖で心がいっぱいになり、下降を開始しました。
 写真は敗退を決断したその時。

「もう一度頑張ってみよう」とメンバーで話し合い、実は朝の方が状態がいいのかもしれないと今度は午前中にアタックを試みることにしたが、アプローチ中はボールの雪面が気になり気持ちは上がって来ない。いつ雪崩が起こるか分からない恐怖と昨年からの目標だけに登りたいという好奇心。もし取り付いたら絶対に満足いくクライミングができることはラインから見て取れる。しかし冒頭の雪崩が起きたことでそんな堂々巡りの自問自答から解放され今回の挑戦の敗退を決めたのであった。

あまりにもあっけなく終わってしまった計画に自責の念は拭えない。敗退はいつも簡単である。私たちの出した判断は間違っていなかったと思うが、何かが自分に足りないのも確かだと思う。その何かとはロッキーの山に対する経験だと自分は感じている。ロッキーでクライミングは年中しているが山でクライミングをしている日数が実に少ないことに気づいた。もっと経験があれば「今回の計画は早々に変更するべきだったのでは?」、「本当に春のこの時期がベストの壁だったのか?」、「このコンディションなら実は登攀可能だったのでは?」などの疑問に対する判断をもっと明確に納得してできたに違いない。
一つはっきりしたことは今までベストシーズンの一つと思っていた春の時期は天候が意外に不安定で雪の量は一年で一番多いということだった。今回のボールは偵察した2月よりも春の方が圧倒的に雪量が多くなっていた。壁の特徴から言えば3月初旬が良かったのかもしれない。今何を書いても後の祭りになってしまうが、ただ一つはっきりしていることは四季を通じてロッキーの山に入りクライミングをたくさんして経験を積むしかないという事実だ。その先には今回のような冒険的なクライミングの成功があるんだと思う。これからもこの地で登り続けよう。

今回の計画に際してチームリンクアップにご支援をして頂いたモンベルの皆様、そして個人的に日頃からサポートをして頂いているミレーの皆様にこの場を借りてお礼申し上げます。

 ボール東壁全景と挑戦したライン。
青:昨年の試登ライン、オレンジ:WASABI、赤:今回トライしたライン

2016年3月15日火曜日

Vol.11 Memory of Bugaboos バカブーの記憶



こんにちは。今週は山田トシがリンクアップブログ11話目を担当いたします。
今回はカナダでもっとも有名なエリアの一つ「バカブー」について書きたいと思います。というのもつい先日発売された日本のクライミング雑誌「ロックアンドスノー」にメンバーの谷と私が行った昨年の秋のバカブーでの初登攀の記事が載っているのでそれにリンクアップさせてみました。まだロクスノ71号を読んでいない方は是非手に取って見て下さい。
さて前置きはこのぐらいにして本題に入りましょう。
上の写真は私がカナダへ渡った2014年の夏に初めてバカブーに訪れた際に登ったサウスハウザータワー北面にある「ベッキーシュイナード」というクラシックラインから登頂した時の一枚です。

Hey guys, it's Toshi here. This week's blog #11 is about one of the most popular climbing areas in Canada, Bugaboos. The photo above is my very first visit to Bugaboos in 2014 summer after having topped out the classic route [Beckey-Chouinard] on the north face of the South Howser Tower.

サウスハウザータワーの北面で左側の急なリッジを登るのが「ベッキーシュイナード」ルート。

 [Beckey-Chouinard] route which involves climbing the steep ridge on the left side on the north face of the South Howser Tower.

このルートはとても長く900mくらいこのようなクライミングが続きとても充実した一日を楽しめます。夏は半袖に素手で登ります。

This route is quite long (about 900m) and continuous of this kind of route above. It was a gorgeous summer day so I was just wearing T-shirt and climbing with the bare hands.
 これはスノーパッチスパイヤー北面の「ワイルドフラワー5.9,8P」を登る私です。バカブーでの初クライミングがこのルートでした。

This was my first try in Bugaboos. North face of the Snowpatch Spire[Wild flower 5,9,8p]

 スノーパッチスパイヤー頂上からの絶景。手前がピジョンピークに後ろの三兄弟がハウザー山群の西面です。ハウザータワーの一番左側の壁を初登攀しました。 この時にこの壁を見て
雪と氷が付いていたら可能性がある壁だなと目星をつけていたわけです。未踏のラインがあるとはこの時は知らなかったんですけどね。

The view from the peak of the Snowpatch Spire. Pigeon peak right in front and the three pointy mountains in further back of the photo are the west face of the Howser mountains. While checking the wall,I knew there were millions of  possibilities in this wall in conditions with ice and snow and this lead to our first ascend of the very left side of the wall of the Howser tower later on. At the time,I was purely thinking about the possibilities of climbing in winter season but didn't know if there were unclimbed routes or not.

これはアップルビーというキャンプ場。スノーパッチスパイヤー(名前の由来が分かりますね)を眺めながら幸せなひと時が過ごせます。クライミングをしない方でもここまでは歩いて来れますので是非訪れて頂きたいです。ケインハットという小屋もありテントは担げないという方でも大丈夫です。

This is an Applebee camp site which has a breathtaking view of the Snowpatch Spire. I would say this place can be enjoyed by anyone. Hiking up to this campsite totally worth the effort. There is a hut (Kein hut) so if you think that you can't carry the tent up there, you don't need to worry about:)
 ここからは10月秋のバカブーの話に移ります。この時期にここへ来た日本人はいたんでしょうか?この写真は駐車場からケインハットやアップルビーキャンプサイトへ向かうトレイルからのものです。小屋まではゆっくり歩いて4時間、早ければ2時間半くらいで着くので昼頃から歩き始めても十分です。左にハウンズトゥースと右のスノー???です(もう覚えましたよね?)。こんな景色を見ながらハイキングいかがですか?特に秋の時期は静かなハイキングが楽しめます。

 This photo was taken at the beginning of the October from the path leading to the Kein hut and Applebee camp site after having left the parking lot. I wonder if any Japanese has ever come over here in this time of the year?
 It takes 4 hours if you walk slowly and if you are quick hiker, probably 2 hours and half. So there should be enough time even if you leave the lot at noon.
 On the left, you can see the Hound's tooth and on right side there is Snow spires. I hugely recommend to try hiking in the fall. Especially the hiking in the fall shows a quiet face of the nature to you.
こんな広大な氷河も独り占め。いやこの時は二人占めか。目の前の岩塔は先ほど出てきたピジョンスパイヤーです。夏には岩だけの壁も秋には雪や氷が付いてミックス(岩と雪と氷)クライミングの可能性を感じさせてくれます。

You can even enjoy such a vast glacier by yourself in fall. The peak of the Pigeon Spire is right in front of your eyes. In summer,the walls is just bare rock but as you can see, the wall covered with ice and snow makes me think about the huge potential of the mix climbing.

秋のサウスハウザータワー西壁で赤線が初登攀したラインです。5枚目の写真と見比べると夏と秋の壁の様子の違いが良く分かります。アルパインクライミングが一番好きな私はやっぱり岩と氷が張り付いた強面な壁や神々しい山に惹れてしまいます。

The red line on the photo is the first ascend line of the west face of the South Howser Tower. You can see the huge difference of the wall in comparison to the one in summer. As an avid alpine climber, I'm always attracted by the challenging walls with ice and snow. 
 これは初登攀したラインの核心部(一番難しい箇所)を上から撮ったものです。ロクスノでは下から撮った写真しか掲載されていないのでおまけてきに載せます。傾斜は実際より寝て見えますが、高度感は伝わるでしょうか?

This is the crux of our first ascended route.The photo from below was used in the magazine,〈 Yes! Our climbing of this first ascend was featured in Japanese magazine!!(Rock and Snow) 〉but I believe the photo It doesn't look like steep from the pic but actually it is quite steep and formidable.

秋の時期は小屋の前でこんな大胆なパッキングも可能です。今度は春の時期にも訪れてみたい。カナダのアルパインクライミングの情報は本当に少なく、特に日本人である私たちだと尚更です。でも裏を返せばたくさんの冒険ができるということ。開拓精神をしっかり持ち
自分の足で歩いて、自分の目で見て、自分でラインを決めて、登頂する。それがアルパインクライミングの本質であり、自分がカナダにいて登る意義はそこにあると思っています。そしてその情報を少しづつ日本へ伝えていと思います。
ではまた来月!!

Packing in front of the hut while dreaming about coming back here in Spring season.

In Canada, alpine climbing information is pretty limited in general and especially in Japanese. On the other hand,there are limitless adventures still waiting for you. All you have to do is just keep up your explorer spirit, always stay curious and look for the new lines then just go there and check possibilities. I believe this attitudes are the most essential and important in the alpine climbing. Personally, that's the reason why I am attracted and keep living in Canada.
I wish I could send as much as information to all of you from my experiences.

Thank you for reading!

Cheers,

Toshi



※Photo1、3、4~5 by Florian Jungen Thanks a lot!!