チーム「Link∞UP」は日本と北米の‘愉快で有益な’「マウンテンライフ」情報を日本と英語圏において共有をすること。 その生活を‘一生懸命楽しんでいる人達’のコネクション強化を図ることを目的に活動しています。 日本や北米でのマウンテンライフについて情報の欲しい方や私達に興味のある方はお気軽にご連絡下さい。

2016年4月28日木曜日

Vol.17 山スキーとバックカントリーの違い

以下は、非常に偏った個人的な見解であり、
実はこんな違いはない、というご意見もあると思います。
あくまで一面的な見方として読んで頂けたら幸いです。

1.山スキーとバックカントリースキー(スノーボード)の違い

・山スキーはスキーを使った登山
・バックカントリースキーは「バックカントリー」での滑走を目的とした行為

山スキーにおけるスキーとは、第一に移動の手段である。
雪の深い日本において、ワカンラッセルでは時に身体全部が雪に埋まる(らしい)。
スキーの浮力はワカンやスノーシューをはるかに凌ぐため、移動距離が格段に伸びる。
かの有名な八甲田山の遭難事故後、ノルウェイ(スウェーデン?)から日本にスキーが贈られた、という単純な事実もこれを象徴しているように思える。

登山の一形態であるから、当然山頂にはこだわる。
つまり、スキーの機動力を活かして山頂に立つ、
これが山スキーの醍醐味ではないか。


バックカントリーというと、今やスキー場外を滑る反社会的で迷惑な行為、
みたいになってしまっているが、そもそもバックカントリーとは何か。
まずはジョン・ミューアとかでググってみる必要がある。
ウィルダネスという言葉とも近いように思う。

平たくいうと人里離れた原野のような場所のことで、
元々はスキーやスノーボードとよりも
バックパッキングと共に語られることが多かった言葉だ。


2.ヨーロッパとアメリカの違い

バックカントリーに行くことは、登山とは異なる。
山頂を征することよりも、ありのままの自然を楽しむ、
というニュアンスが強いように思う。
つまり、必ずしも山頂に立つ必要はない。

ここで気づくのは、前者が欧州的であるのに対し、後者が北米的なことだ。

日本古来の信仰に基づく登山を除けば、
山頂を極めるための登山的な行為、思想はヨーロッパからもたらされた。
詳しくはウェストンとかググる必要がある。


また、スキーもレルヒ少佐なるヨーロッパ人が
最初にスキー指導を行ったとされている。

当初の日本にはスキー場がなかったから、
スキーは当然自然の地形で行われたが、
これを「山スキー」と呼んでいいかはよくわからない。
呼びたくない。

さておき、これらの単純な事実からも、
山スキーが欧州的な流れをくむものであることは明白だ。
またそう捉えると、山スキーが登山的であることにも納得がいく(はずだ)。


対して、バックカントリーという概念は、
そもそもヨーロッパのカウンターカルチャーとして捉えることができる。

彼の地の有名な山岳エリアを見れば一目瞭然だが、
ひどく人の手が入っていて、もはや原状回復できない、
敷金は一円も戻ってこないレベルだ。

あんな風にしてはいけない、せめてここはありのままを残そう、
とソローは考えたと思う。

自然を抜きにしても、そもそもアメリカは、
ヨーロッパを半面教師と捉えていた。

3.滑りの違い

だんだん話が山スキーとバックカントリーから
欧州と北米にズレてきてしまったが、
修正するのが困難なので、このまま進めたい。

両者の違いは滑り方にも表れていると思う。

文化だけでなく、山容が違うことも一因とは思うが、
欧州ではシャモニーにおける懸垂下降も厭わないような
スティープラインが引かれる一方で、
北米は飛んだり、跳ねたりのフリースキー的な、
より人に見せるためのスキーを発展させてきた。


ヨーロッパ人がポールをくぐってタイムを競ったりして
真面目に血管を浮かび上がらせて0.01秒を争っている横で、
アメリカ人は空中をクルクル回ったり、レールに乗ったりして、
「ハイファーイブ」とか言って楽しんでいる。

もちろん、これは極端な対比だ。
情報が溢れる現代においては、
どちらにも両方の文化があり、
それぞれ楽しそうにシュプールを描いている。

楽しむという意味では、山スキーもバックカントリーも大差がなく、
時として区別するのが困難で、その意義もあまりないような気もする。

しかし、敢えて言おう、
私はどうしようもなく山スキーヤーであると。

とたえ女優がM字開脚で誘っていても、
それに背を向け、ダブルウィペットとクトーを持って、
カリカリの斜面やデブリランドに向かうのが山スキーヤーである。

あぁ、あの本また読みたい。。。

2016年4月21日木曜日

Vol.16 JAC Tokai Waddington Expedition~ワディントンへの道~

今週は遠征まで一週間を切ってソワソワしている山田トシが遠征出発の報告とそのトレーニングとして行ってきたロッキーでのアルパインクライミングの模様をお伝えします。登山隊の名前は日本山岳会東海支部ワディントン登山隊、メンバーはリンクアップ仲間である谷、ボブそして私の三人で楽しんで参ります。

Hey guys, this week's post will be about our upcoming expedition to Waddington and our training in Rockies. Before staring my blog here,we would like to show a big appreciation to a generous support by the Japanese Apline Club Tokay Section.

As I mentioned above we are heading to Waddington for a month for an entire May and its member are Takeshi Tani,Noboru Bob Kikuchi and Toshiyuki Yamada.  
 今回の遠征地であるワディントン山群の主峰マウントワディントン(4019m)の南壁です。今回の目標は壁の初登を狙いつつ、山群の縦走を完結することです。特に縦走は私達の登山キャリアを向上させるとてもチャレンジングな計画だと思っています。それでは簡単にワディントンについてご説明しますね。

 The south face of Mt.Waddington(4019m).The goals of our expedition are the first ascend of the wall and complete traversing the Waddington mountains range.  Especially, the traversing would be challenging but the success of our challenge would lead to the improvement of our climbing skills and experiences in our career.

Now let me briefly introduce what Waddington is like. 

Photo by glog star.com.

 ワディントン山群はバンクーバーの北西280km地点に位置する巨大な氷河を抱いたとても大きな山域です。バンクーバーから約800kmドライブをしてヘリの基地であるタトラレイクへ行き、そこからはヘリで1時間かけて入山します。カルガリーからだと更にバンクーバーまで
約1000kmあるので片道1800kmのドライブです。腰いたそ~。

Waddington mountains locate in 280km up Northwest of Vancouver,possesses the huge glaciers. The access there involves driving about 800km from Vancouver to reach the heliport(Tatla lake) and flying from there about 1 hour. From Calgary where I live right now, I have to add extra 1000km to get to the Vancouver so the total distance will be 1800km.Now I am pretty sure that it is will surely kill my back.

Orange line=car    Blue line=Helicopter on the picture above  


ワディントンの概念図。赤枠で囲った部分が今回の私達の行動範囲です。この広い山群にクライマーは僕らだけでしょうね。夏にはちらほら北米クライマーが訪れる場所ではありますが、春の時期は1年に1パーティーいるかいないかでしょう。スキーヤーはこの時期に来るみたいです。

 Topographic map of the Waddington Range.The area within the red line is our  destination area. Probably we would be the only one group of climbers in the area in this time of the year.Annually spring is the season climbers gathers around. However I heard skiers often go there in Spring season.


ここからはロッキーでのトレーニングの話。3月に入り日が長くなり雪が安定してくるこの時期はアルパインクライミング(簡単に言うと山で行うクライミング)の季節です。写真はマウン
トアンドロメダのアステロイドアレー(Ⅳ、5.9)へのアプローチ。

 Let me talk about some of our training for our expedition. Generally in  March,conditions of mountains get stable and the daylight hours get longer and all of these work best for the alpine climbing.
 The photo above is on our way to Mt.Andromeda Asteroid Alley.(Ⅳ、5.9)

アステロイドアレークライミング中。この雪にまみれながらじりじり登っていく感じがアルパインクライミングの醍醐味。

Making my way up the wall at the Asteroid Alley.

Photo by Jacob Dans.




アイスクライミングで人気のマーチンソンフォール(WI4+、210m)を登ってからの~~~

Having climbed the popular route of ice climbing,Martinson Wall(WI4+、210m) and then ...

~~マウンテニアリング。長時間行動が基本のアルパインクライミングは体力が物を言う世界でもあります。普段なら滝を登って終了の所をそこから更に3時間以上登山をして頂上稜線まで登れば充実した1日にすることができます。ロッキーはどの山も冬は北アルプス以上に厳しいです。  
Mountaineering follows... Since stamina and endurance are the key components in alpine climbing,we continued to proceed further 3 hours after climbing up the wall and then reached the ridge that leads to the peak of the mountains. 

Photo by Sebastian Taborszky.

マウントキッド西壁でのクライミング。普段なら滝が繋がっている所が今回は暖冬すぎたため登れずその左にあったバリエーションライン(たぶん未踏)にトライ。この数分後に10m以上フォールして腰を強打しパートナーに介抱されながら敗退。キャメのNO.3が吹っ飛んだ時には
流石にビビりました。

Climbing on the West face of Mt. Kidd. The warm winter of this year already melt the ice on the wall away so we had to change to the other route. This time,we found and tried the variation route( I amuse it could have been the first ascend if we made it...) To my biggest surprise, 10 minutes after trying the route the cam#3 came off the wall and I made a huge tumble and fall probably more than 10m and hit my hips against the wall. My partner helped me climb down and back to the the car...


後日、懲りずにマウントキッド西壁に違うラインから再トライ。昼前に頂上まで100mと迫るも暖かすぎて氷が溶けてしまいまたまた登れずに敗退。。。ロッキーの冬は簡単に登らせてくれません。

Later,on the other day I came to the West face of the Mt.Kidd again but this time we decided to go the another route.We made to the point 100m away from the peak but AGAIN!!! it was too warm so there was no more snow to climb from there.... 



最終トレーニングで挑んだ秘密のエリア。登れれば1000mを越えるビックルートだったが、またまた暖かすぎて敗退(笑)。氷は雪、爆撃のような雪崩がそこら中で起こっていて素直に諦めました。でも来年のいいプロジェクトになりました。

結果としては残念なアルパインシーズンでしたが、できる限り山に入り行動することができたのでトレーニングとしては十分な内容だったと思います。天候と壁の状態に期待を膨らませつつ1か月間の遠征を楽しんできます。6月初旬の報告をお楽しみに!!

This is the secret spot that we are currently working on:) It could be a long route more than 1000m,well you  already have guessed what will happen next...YET AGAIN TOO WARM.... Falling ice, snow and avalanche happening everywhere and they were like someone has been shooting us from above continuously. So we decided to head back while determining to come back here next year.

 To be honest,we didn't gain the best results from this alpine season, but our motivations and attitudes toward  the mountains  were sincere and more than enough.  Now we are totally ready for our big expedition for an entire May in Waddington.

Hope you guys enjoyed and please look forward to our update in the beginning of June.

Cheers,

Toshi