チーム「Link∞UP」は日本と北米の‘愉快で有益な’「マウンテンライフ」情報を日本と英語圏において共有をすること。 その生活を‘一生懸命楽しんでいる人達’のコネクション強化を図ることを目的に活動しています。 日本や北米でのマウンテンライフについて情報の欲しい方や私達に興味のある方はお気軽にご連絡下さい。

2019年7月29日月曜日

Vol.182 遅いシーズンイン

どうも、ボブです。
7月も残る数日となり、気付けば8月。
昨年は9月に雪が降って寒くなったのでつまりあと1か月ちょいで
夏が終わろうとしています。ロッキーの夏短いっすねー
ってことでやっとクライミングシーズンインしてきました。遅っ!

というのも3月の頭に肩が痛み、仕事で包丁を使う際にも不安定な感じがあったので、病院で診てもらったところ "supraspinatus tendon(棘上筋)"が部分的に切れている事が分かりました。どうやって切れたのかも、どこの健なのかも、いまいち分かりませんが、完全に切れると手術が必要でその手前で分かったのでラッキー!という事でしばらくクライミングをお休みしておりました。

 その間、もんもんと過ごしていたわけではなく、移民の為に必要な英語のテスト勉強などもあり逆にいいタイミングでした。また体力トレーニングも兼ねたマウンテンバイクは肩的に大丈夫だったで休日はいろんなところに走りにいきました。クライミングだけでなく色んな事が身近に出来るこの環境は最高だと改めて思いました。
Golden の街にある標高差1000mのバイクコースの頂上からの眺め。
思い返せば、学生の頃から自転車は好きでダウンヒルコースとか走ってみたいなぁとネットで見た事がありましたが九州にはたぶん無かった記憶ととにかくチャリが高すぎて手が出せなかった記憶があります。大人になって気付いたらカナダに来て、気付いたらまたバイクにハマってしまうなんて思いもしませんでした。

 そして、英語のテストも無事にパス出来て、肩周りの強化も出来て来たのでクライミングを再開した次第です。(あと先週親知らずを三本抜きました。)
色々と整理出来たので気持ちよくクライミング再開がてらYamunaska の頂上にダイレクトに抜けるマルチピッチルート、その名も"Super direct (5.10d/5.11a,340m,9P)"に行ってきました。
14時までは暑かった。。
核心はSustainなフェイスクライミングで、そこはボルトですが、後半の2ピッチで出てくる脆そうなハングをトラッドで乗り越えて行くところはなかなか痺れました。
左は摂理の少ない傾斜の緩いフェイス。右は摂理のあるハングからのOffwidth。
正解は右で、右を超えて行きましたが、弱点とも強点とも甲乙つけがたいライン取りだと感じました。摂理があるなら摂理に従うのは基本でしょうか。
全体的にはヤムナスカスタンダードより少し上を行く脆さですが、何よりピークに直接抜けるライン取り、フェース・スラブ・クラックと多彩な内容を加味して星三つは納得でした。
最後はYamunaskaの頂上にトップアウト。
夏のバガブーを考えてる方はカルガリーで降り立ち、空の旅で凝り固まった身体をリフレッシュするのにいかがでしょう。ただし、ここでは脆さ故に悲しい事故が毎年起きています。先週も友人がホールドの欠損でフォールし、足首を骨折しました。

 僕も昔ルートを外れて登ってしまいダークサイドに侵入。アンダーのガバホールドをもってムーブを起こそうとしたら見事に外れ、カムが三つ飛んで10m近く落ちた事があります。幸運な事にビレー点がボルトだった事と落ちた際にレッジに当たらなかったので軽い擦り傷で済みました。

ポイントはホールドの選択肢が二つあるなら二つ使う、マッチは出来るだけ避ける。
ホールドをしっかり観察し、耳を傾け、壁から剥がさないようにそっと押し付けながら登る事でしょうか。

Yamunaska, CMC Wall / Direttissima Sector, Super Direct ★★★ 是非~!
トポもネット上に公開されているのでリンク貼っておきます。

以上、ボブでした。



2019年7月17日水曜日

Vol.181 ビアフェラータという遊び

命綱があるので安心,ビアフェラータ
皆さんこんにちは、Vol.180はヘリで入山するバックカントリーロッジでガイディング中の秋山がお届けします。

早速ですが、ビアフェラータってみなさまご存知ですか?
どうやらイタリア語らしいですが、英語圏でもVia Ferrataと呼びます。Via Ferrata、Viaが鉄、Ferrataが道ということで、鉄の道ってことになりますが、やっぱりなんのこっちゃ??

ざっくりですが説明すると、岩壁に鉄の足場やハシゴ、ロープ、橋が打ち込んであり、それを足場にしながら登ると同時に、落ちても良いようにルートの脇に整備されている鉄のワイヤーに、自分のハーネスに接続されている命綱をかけながら、山を登っていく遊び。です。わかりにくいですね。

クライミング要素がありながら鉄の手がかりを使って登る、これがビアフェラータ
アスレチックの大人版ですね
つまり、クライミング的な道具を使うけど、基本ハシゴのようなものを使って山を登っていくってことです。山の技術がなくても高所に耐えられる度胸と腕力があれば、クライマー気分を味わえるんですね。んーお得!!

岩壁をハシゴで登る
高度感!!

ビアフェラータの歴史等々に興味があるかたは個々にググって頂きたいですが、今回のブログでは、ロッキーでできるビアフェラータを紹介したいと思います。

1. バンフの町から無料シャトルもあるマウント・ノーケイスキー場
 お金を払ってガイド付きビアフェラータツアーを安全に楽しむにはここがオススメです。
車がなくても問題ないですし、ハーネス、命綱はもちろん、ハイキングシューズまで貸してもらえちゃいます。しかも週5日は日本人ガイドさんが働いているので、言葉も安心!

詳細はホームページをご覧いただきたいですが、選べるコースとしては、
2.5時間コース(169ドル)
4時間コース(219ドル)
6時間コース(349ドル)
とあります。ブリーフィングを含めての時間なので2.5時間コースは少し物足りないかも。
私のおすすめは少しお高いですが、6時間ガッツリコースです。しかもこのコースだけツアー終了後にチーズやサラミのおつまみとビール付きのコースです!

バンフの街を見下ろせるのも魅力
日本人のガイドさんで日本人だけのツアーもしてもらいました
6時間コースのあとのアプレ
下記2.3番のルートはボランティが整備した自己責任コースです。
ビアフェラータがなんたるか、を分かっていない人は行かない、もしくは理解している人と行きましょう!
また、入口の看板にもありますが、メンテナンスの為の募金をホームページから受け付けているようです。使用する人は寄付をお願いします。

2. アブラハムレイクを見下ろす簡単コース
The Fox
標高差は180m、経験者なら1.5時間で抜けれます。マックスでも3時間ほど。
入門編には最適、そして大展望コースです。

The Foxの入り口
デイビッド・トンプソン・ハイウェイにあるアブラハムレイクを見下ろす

3. アブラハムレイク付近の上級コース
From Nordegg with Love
上記2のコースからクロッシング方面に5分ほど戻った場所から始まります。The Foxより断然難しく、高度感も半端ないです。オススメはまず午前中The Foxを試してから、午後From Nordegg with Loveに取り掛かりましょう。

From Nordegg with Loveの入り口
こちらのコースからアブラハムレイクは遠くにしか見られないけど、きれいな谷を鳥瞰
斜度がきついのがこのコース

この他バクーバーから近いスコーミッシュにもありますし、バンフから2時間の町ゴールデンのキッキングホーススキー場にも整備されています。

ロッキーの旅の際、クライミングの休息日に、ハイキング以上のスリルを求めたい場合など、是非ビアフェラータも検討してみてください!!

ケーブルを持って登ってもOK
手すりがあるのではしごを登る感覚
高度感はあるが安心に楽しめるのがビアフェラータ
ノーケイスキー場には吊り橋もある

2019年7月14日日曜日

知床カヤックエクスペディション

こんにちは。星野です。
いよいよ夏本番になってまいりましたが、今年は今の所冷夏の様です。北海道も5月に異例の30℃越えを記録してからは、暑さはおとなしく感じています。このまま涼しい夏がいいな~なんて思ってもいます。僕はと言うと、今年の春にガイド試験に合格し、山岳Ⅰ資格を取得しました。ようやく山岳ガイドとしてのスタートラインに立つ事が出来ました。

今回は夏の便りでは無く、春に行った知床カヤックを紹介したいと思います。
知床と言えば言わずと知れた世界自然遺産です。当初の予定では岬までカヤックで行って、そこから知床岳まで稜線をスキーで登る予定でしたが、知床に着いてみると稜線は真っ黒。天気との関係もあり、今回はスキーは辞めてカヤックで知床岬を周る事にしました。




出発は羅臼側の相泊。出廷届は羅臼のビジターセンターで出しました。色々な情報を聞く事も出来るので出廷前に一度立ち寄るといいと思います。
1日目の海は風も無く穏やかでした。沢山の海鳥や、時々海面から顔を出すアザラシが北の海を感じさせてくれました。運が良ければシャチも見れるそうです。

3月の知床の海はまだまだ寒く、服装はドライスーツの中に、上下化繊のインサレーションを着こんだままカヤックを漕いでも、暑くはなりませんでした。


1日目に知床岬をぐるっと回り込み、オホーツク海側に出ました。オホーツク海側は夕日が見れて焚火との相性抜群。前に読んだ、星野道夫がアラスカの海を旅した時の物語が頭に浮かびました。




2日目から風が出て、結構エクストリーム。結局2日目は半日停滞し、夕方の夕凪を狙って少し進み、3日目にウトロに到着しました。場所によっては、うねり&強風の向かい風。後ろから「漕ぎ続けてー!」と言われ上半身がパンプ寸前。転覆するんじゃないかと冷や冷やしながらの航海でした。特にウトロに到着寸前の向かい風は強烈で、漕いでも漕いでも進んでる気がせず「うぉ~~!」って感じで結構燃えました。後ろに乗っていた強力なパートナーのおかげで無事に帰ってこれました。




カヤックを3日間で終え、もともと予定していたスキーの日程を天気が良さそうな大雪エリアに移動。前から行ってみたかった愛別岳へ。北海道の3月は天気も安定し、日も長くなり、遠い山へ登れるので最高です。3月になると北海道に遊びに来るスキーヤーは減りますが、山スキーするならば3月がベストシーズンな気がします。実は僕、北海道に来て以来、毎年春は何処かへ出かけていて、しっかり北海道の春を遊ぶのは始めてでした。もっともっと北海道の春を遊びたいと思いました。