チーム「Link∞UP」は日本と北米の‘愉快で有益な’「マウンテンライフ」情報を日本と英語圏において共有をすること。 その生活を‘一生懸命楽しんでいる人達’のコネクション強化を図ることを目的に活動しています。 日本や北米でのマウンテンライフについて情報の欲しい方や私達に興味のある方はお気軽にご連絡下さい。

2018年6月29日金曜日

Vol,129 山について僕が思うこと(テクノロジー)

皆さんこんばんは、谷です。
早いですね。もうブログの順番とは。
毎回、順番が来るたびに胃がキリキリする思いです(笑)
さて今回のお題は山で使う文明の力、すなわちテクノロジーです。
もちろん山にはマナーやルールがあり、持ち込んだものは持って帰る、自然へのインパクトは最小限など、常識的なことは当然みんな知っているとしと思います。
今回は新しく出てくる便利な道具たちについてどこまでが山にとってOKでどれ以上はやりすぎなのか新しい常識について考えてみたいと思います。

山で使うテクノロジーって何って話ですが、例えば
GPS、携帯などを使った衛星を利用した山岳天気予報、ヘリコプターやセスナでの入山、
近年になって使うことが増えてきた機械など、
これ大きくいうと登山やスキーのスタイルにも発展するんですが、(極地法など)
今回はとりあえず人間が生み出せないエネルギー、パワーまたは情報など、
使うことに対して少し考えたいなと思います。

まず、スマホ、GPS、ビーコン、無線、インリーチなどの機械類について考えたいと思います。

ビーコンですが、
まずこれに取って代わるものがありません。
これを持っていかないという選択肢は軽量化(シャベルもプローブも背負いたくないなど)?
もしくは雪崩れたら埋まるというより、滑落して死ぬなど、かなり際どい事をやっている人が持っていかないだけで、(ガイドの立場からはあまりオススメしない)
このテクノロジーを使うのは僕はありかなと考えます。
他人に迷惑かけますしね。探せないので。

次にGPS
これは地図読みができれば、要るか要らないかはかなり悩みます。
でも高度計は使っていいのになんでGPSは駄目なのって議論も変な気がしますね。
地図読みには高度計必須ですし、かなりの距離を歩くスキー縦走だとGPSは確実に必要な気もします。ホワイトアウトの時が特にですね。
ただバッテリーが切れた時のことを考えて、地図、コンパスは持って行くべきでしょう。
もちろん使える知識とともに。
スマホ便利ですね。いい地図ソフトがびっしり

余計な重みだという話もありましたが、近年スマホやGPS付きの腕時計などあるので
これは理由にはなりませんね。
あとログを取るにも便利ですしね。
ただ、これもログブックにメモを取りなさいって人もいるので答えは出ず。
あともう一つよく耳にするのが「GPSばかり使ってると地図が読めなくなる。」
これは僕はあまりあってるとは言い難いなと思います。
GPSだけじゃ無く地図も必須

GPSでルートプランする場合、基本、地図も家で使うし、読み方は地図と一緒なので。
余計に地図を読む機会が増えると思います。
私見としてはGPSはなくてもいける山行が多いので、未だにこのテクノロジーを使うことがフェアではないという人はいますが、これがないと出来ない水平の山、スキー縦走などでは
命綱なので、僕的にはありかなとおもいます。
インリーチというGPSやEmailさらに最新の天気予報が得られ
緊急救難信号を発信できる機器
これは位置を相手に知らせたり無事を知らせたり、
救難信号も出せるスポットという機器


無線とインリーチ、これは情報の部類に入ると思うので、衛星電話や天気予報など
含めて考えたいと思います。
無線はなぜか昔からあるものなので議論に上がりませんが、これも僕は新しいテクノロジーと一緒だと思います。
どちらかというと、これと衛星携帯やインリーチなどの緊急救難機器のどこが違うのかよくわからないですね。
無線も場所によればですが正確な天気予報が得られ、またコミュニケーションのツールとして救助にも役に立つ、そしてバッテリーも消費する。
このバッテリーを使う、人が生み出せないエネルギーという面ではGPSもビーコンも大差ないと考えます。
昔からあるものだからいいではなく、基本、山に対して、自然に対して、インパクトなくフェアにという面で言えば、この無線ってどうなんだろう、携帯電話もどうなんだろうということになります。
確かに昔の人たちは正確な天気予報を得られず、経験則や観天望気によって登山を行なっていたわけなので、これもなければないで、出来てしまうという意味でも考えてしまいますね。
また山に入るまで、「ベースキャンプまでは何を使ってもいい」、でも山行中は使ってはならない、という考え方もあるようですが、これも難しいですね。
何を持ってベースキャンプというかもわからないし。
ベースキャンプも山の中なので自然へのインパクトも計り知れない。
また器具を使わない代わりに人を100人使って登頂者1人って登山がいいのかというとそうでもないですし。
なので僕的には情報を得るディバイスはどれもありかなという感じですが、
ただ議論余地はかなりありますね。



さて次はヘリコプターやセスナを使っての入山、すなわちアプローチですね。
これ一番僕ら日本人には理解は難しいでしょうね。
なぜなら道路が山の中腹や下手すれば山頂付近まであるし、ゴンドラ、ロープウェイもたくさんある国で育った場合、
「んーヘリで入山。それズルじゃん。」ってなります。
でもそれがない国(これは先進国でも結構ある、特に北米)デナリのセスナで入山はどうなの?これもベースキャンプと同じでどこまでが適正なのか?
スキーの斜面を滑るために頂上に降ろしてもらって滑るのはやはりないわけですが。
かと言って最寄りの町や道路、公共交通機関からが登山となるとそれがない国はどうするのとなりますし。
体力面で考えてもヘリとセスナはダメで他の乗り物はいいの?ってなります。
シャモニーのミディのロープウェイは?登山鉄道は?はたまた車は?山小屋も泊まっちゃダメ?下にある集落も?海抜0から登るの?なんて言いだしたらきりがないですね。
ちなみにカナダは町がほとんどないので基本的にヘリやセスナ入山が多いです。町から100km離れてるの当たり前。
イメージでいうと松本から電車とバスがない状態で上高地に徳本峠経由で入ってから北アルプスの山行する感じなので、みんなその部分省くわけです。でもこれ島々宿から徳本歩いたことある人ならわかるように歴史のある一度は歩いていい道な訳です。でも穂高のベースは上高地。北尾根や東稜行くのにこれ毎回歩ける?って話ですよね。ベースは松本ではないわけです。
自然へのインパクトを考えてもヘリコプターとかの方が見た目すごいエネルギー使ってるかもしれないですが、西穂のロープウェイはどれだけのエネルギーを使って何人山に人を運んでいるかというと、一概に比較できません。
もし営業をやめてもヘリなら人工物は何も残りませんしね

実際、登山鉄道やロープウェイを作るのに
何年の月日がかかり、どれだけのインパクトが自然にあるか計り知れない。
歩けば数時間、作れば最低でも数年。


そしてこのカテゴリーは今までのテクノロジーと違い、実際に肉体的に関わってくるものなので、慎重に議論が必要かなと思います。

ただ一つ言えるのが、これは山によりけりかなと、その山行のスタイルや目標(壁や斜面)によりけりと思うのです。
なので議論せずに、その山に行かずにヘリを使った時点でダメ、ではなくその山一つ一つにある程度の共通認識がみんなで議論してあるといいですよね。

なので議論する、初登者たちの意見を聞く、さらには世間一般の意見も聞いて進めていく必要があるのかなと思います。
「俺は自分の山だけやってりゃいい」と無視しててダメですし、「あの人がやってるのは登山じゃない」と無視するのも良くないですね、やっぱり山をやる同じ人間として。

ちなみにロッキーでもMtヤムナスカのクラシックルートにボルトが足されたり、昔のピトンが抜かれて問題なってます。特に北米人は危険だったら打てばいいという感覚が強いので、問題になりやすい。またその初登者がヤムナスカのベースに謎のボルトを打ちまくっているので誰も注意できないという事態にも発展していて問題が膨らんでいてこれも困ったもんです。
ルートや山はみんなのものという考え方も必要かなと。

アプローチの話をしてるのに話が逸れました。このボルトやルートのトピックはまた後日話しますね。

ただ登山やスキーの中でその道具や器具や情報が無くて出来るもの、無くていいものを山に持ち込む、これすなわち後退だと思います。ただその新しいテクノロジーを駆使することによって、今までできなかった登山、スキーなどが出来るこれは大いにアリなんではないかなとも思うのです。

また、こういう話をすることが登山界の教育の場になるとも思います。
近年クラブに属する若者が減りこういうことを学ぶことが少なくなってきました。
そして私たちガイドはどうしてもセーフティーのマージンを多く取るため、安全なディバイスをより多く持っていきがちですし、ボルトも足しすぎです。
一登山者として登山の本質である冒険という部分をやはり少しでも学ぶ機会が増えればと思いますね。


今回の案件を簡単にまとめてみました。(他にも色々考える機器ありそうですが)
ビーコン ◯
GPS   △(地図が使えるなど、まだ議論の余地あり)
無線機、衛星携帯、インリーチ △(緊急用ならいいが天気予報を常時得ることはどうか?)
ヘリコプター、セスナ △(ロープウェイ、ゴンドラ、登山鉄道とどう違うのか?山によりけり、これはスタイルと同様、議論が必要。ただしもし使わずにやったことはプラスに評価できる?例えばモーターボート使った場合、カヤックとか)

という結果でした。


さて答えはすぐには出ませんが、こういう議論をして考えていく中で案外、誰も考えつかない山行のアイデアが浮かんでくるかもしれませんよ。
そんな山行が人生に一回でもできれば山をやる人間として幸せかもしれませんね。
ではまた。








0 件のコメント:

コメントを投稿