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2019年6月23日日曜日

Vol.178 イランからのハワイ

優秀な日本のパスポート

ここに穴の開いたパスポートがある。カナダ以来約5年ぶりの海外旅行に行くためにパスポートを更新したため、必要なくなったパスポートである。ビザなしで訪問できる国数、信頼度ナンバーワンともいわれる日本国の偉大なパスポートである。もちろん、USA にも行ける。当然ハワイにもだ。しかし、これには1つの欠陥があった。



イランへの渡航記録である。通常、日本のパスポートを持っていれば、アメリカへはビザなしで行ける。ただし、事前に ESTA(電子渡航認証システム)という申請をしておく必要がある。名前やら住所やら個人情報を打ち込み、20 分ほどで手続きができ、早ければ直後に許可が下りる。ウェブサイトでは出国の 72 時間以上前に手続きを済ませるべし、と書かれている。



正直、まぁ余裕だろうと家でプラレールを組み立てたり、瑞牆のボルダーを訪れたりと出発直前まで呑気に過ごしていた。そして、5/26 にパスポートを受領した。結婚 10 周年のハワイ旅行、出国 10 日前である。で、一応その日のうちには申請をした。


結果、却下された。


は!?

だって、4年半前カナダから入国してるのよ!
前回は問題なく入れたし、あたし二度目なのよ、アメリカ!

懐かしの Devil's Tower

はい、問題は 2012 年のイランへの渡航歴でした。

それも、この渡航歴が問題になるようになったのは 2016 年以降だそう。だから2014年の入国は問題にならなかったのです。以下、在日米国大使館・領事館のページから引用します。

#ESTA 申請に関する注意事項:日本を含むビザ免除プログラム参加国の国籍の方で、2011 年3月1日以降にイラク、イラン、スーダン、シリア、リビア、ソマリア、イエメンに渡航した方はESTAを利用できません。渡米前に早めにビザを申請することをお勧めします。

結論:ビザの申請が必要だそうです。

具体的な流れは、ウェブサイトで必要な情報を入力し申請(ESTAより求められる情報量が多く、所要時間は一時間弱)、大使館での面接を予約(ここまではウェブでできる)、面接してビザが下りればパスポートを預ける、返送。

10 日でできるのか、これ??

しかも、申請にはお金(USD160で18,400円)がかかります。ESTAの 14 ドルに比べれば 10 倍以上で、最悪間に合わなくても返金はありません。一方、子供を含む3人分の航空券代・約 25 万円はキャンセル、変更不可で、払戻もほとんど期待できません(ホテルは直前までキャンセル可能)。

2012 年のイラン

難易度はかなり高そうです。現実逃避をするため、しばし 2012 年のイラン訪問を振り返ってみましたが...前職での海外出張だったので、大した記憶も記録もありませんでした...。

PUMAならぬROYAL TIGER

そもそも ESTA 申請時に「2011 年3月以降にイラン etc. に行ったことがあるか?」みたいな設問があって、「はい」を選択したときに警告文みたいなのが出ていたので、ヤバい気配はあったのですが、そのままの内容で申請してしまいました。イランの査証が貼ってあるパスポートには既に穴が開き(冒頭の写真)、今はまっさらなパスポートを持っている以上、渡航歴はバレなかったような気がしないでもなかったのですが...今となってはダメですね。それに、アメリカ相手に嘘はいけません(コワい)。

その夜考えられた選択肢は、以下の3つでした。

  1. アメリカへの渡航を諦め、航空券代は放棄して国内旅行にする
  2. 私だけアメリカへの渡航を諦め、妻子二人旅をしてきてもらう
  3. 最後まで諦めずにアメリカを目指す

話し合った結果、2.は妻がしんどいので無理。1.を最終手段としてできるだけ3.で行くということになりました。ただ、間に合わなければさらに損失が大きくなるだけなので、翌日大使館に問い合わせることにして、とりあえず寝ました。


翌日、アメリカの祝日(戦没者追悼記念日)のため、大使館はお休みでした。

が、ウェブ上でできることはやっておこうと申請手続きをあらかた済ませ、あとは 160 ドルの決済をするだけ、というとこまで持って行きました。そこでようやく面接の可能な日が専用サイトに表示されるのですが、その日付は 6/6

それは、出国予定日の翌日でした...。

家庭内は重苦しい雰囲気に包まれました。


結論から申し上げますと、ハワイには行くことが出来ました。

次の日に改めて確認したところ、データが更新され、その日の翌日の 5/29 には面接が可能になっていたので、速攻で支払いを済ませて面接を予約し、半日の有給休暇をもらい、翌日大使館に赴き、面接に無事合格したのです。

面接官:「何しにイランへ行った?」

私:「仕事で井戸を掘っていたのよ」

面接官:「何を掘っていたんだい?」

私:「天然資源よ」

面接官:「武器を製造するための資源じゃないよね?」

私:「はっはっはっ、ノーウェイ」

というやり取りを覚えております。私は、しがない一市民であり、それも今はほとんど山や岩や雪にしか興味がない、善良なるそれなのであります。そんな私に、おぉ、グレート・アメリカは再び訪問の許可を与えて下さったのです。帰り際に「郵送間に合うよね?」と何度も念押ししたことは言うまでもありません。

そして、出発の3日前、ビザが貼られたパスポートが戻ってきました。


正直なところ、ハワイなんて別に行きたくもありませんでした。

本当に自由な時間が一週間もあり、パートナーもいるのであれば、廻り目平キャンプ場や瑞牆山自然公園に一週間滞在する方がずっと楽しいに決まっているし、お金もあまりかかりません。それに、最近は遠出することに対して億劫になったり、後ろめたさを感じたりするようになってきました。食べ物も、楽しみも、地産地消が正しい生き方のような気が、なんとなくするのです。

まぁ、子供が生まれて気軽に海外に行けるような、時間的、金銭的余裕が無くなっただけかも知れませんが。

それでも、こういう逆境に晒されると「行くしかない」という気持ちにさせられました。


実際に行ったハワイは物価が高く、ご飯も特段美味しくなく、日本のように安くて美味しく、バラエティに富んだ外食なんていうものもありませんでした(私見)。この写真は滞在初日に食したロコモコ(ご飯にグレービーソースかけてハンバーグに目玉焼き乗せたやつ)なのですが、これだけでもう外食はやめにしたいくらいのショックを受けました(悪い意味で)。

ワイキキエリアのグルメランキングでは丸亀製麵が2位だったし、ここには安くて美味いものはそうそう無いか、ビギナーには見つけられないのでしょう...。お金をかければそこそこ美味しいものにありつけますが...。


日本人も多いです。観光客だけでなく、住んでる方も多く、日系の方でなくても片言の日本語を話せます。便利ではありますが「外国に来た感」は薄め。山は熱帯で鬱蒼としており、ここオアフ島に高い山はありませんが、一応ワイキキを象徴する山?ダイアモンド・ヘッドには登っておきました。


あと、ハイキングに出かけた滝の近くに1/9サイズのK2がありました!
登山道もあるようで、これはちょっと登っておきたかったと、後からその存在を知って後悔しました。

今回は元々家族旅行。旅先の選定は、3歳の子供と安心して家族旅行できる、という目線で行われました。しっかりとしたインフラがあり、治安が良く、フライト時間が短めで、感染症や衛生面の不安が少なく、6月でも天候が安定しているということで、ハワイとなった訳です。正直、本当はネパールとかチリとかキルギスとか、行ったことの無い場所に行ってみたかったのですが…。


おそらく、オアフ島はクライマー同士のカップルではまず行くことの無い場所でしょう。マニアックな沢ヤさんとかであれば、もしかしたら...ありなのかも知れませんが。しかし、山をしないパートナーを持ち、子供がいて、ハワイにどうしても行かなければならない、そしてあなたがハワイ滞在中に一日くらいはどうしても登りたいどうしようもないクライマーの場合、Waimea Bay のボルダーだけはあなたの味方です!


下地が砂なのでクラッシュパッドが不要で、課題が複数あり、難易度は二段くらいまで。初中級者にはもってこいです。しかも、ビーチなので妻子が浜辺で遊んでいる隙をみつけて登ることができます。ただ、海は遠浅の反対ですぐに深くなるやつなので、私のようなカナヅチや子供には不適です。

興味のある方は、ここにトポがあるので見てみてください。私は下の動画に触発されて Chicken Wing という V3(3~4級)に取り付きましたが、見事に敗退しました(笑)。ロクスノ #55 でジャック中根氏によりオアフ島のボルダーが紹介されていますが、他のビーチにも V10 くらいまでの課題があるようです。

相変わらず文句の多いカネイワがお送りしましたが、オアフ島は良いところです。是非行ってみてください。そして、その際は是非早めにご準備を進めてください!特に、あなたがアメリカと敵対する国々に滞在したことがある場合は...。

これからも世界が平和で、のんびりと自由に山や沢や雪山で過ごせる世界でありますように。それでは、アロハ~。

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